起案者ストーリー
児童発達支援・放課後等デイサービスという言葉を聞いたことがありますか。ごく簡単に説明すると、障がいのある子どもたちが社会性を身に付けたり、言語能力を伸ばしたりするためにそれぞれの分野のプロが指導などを行うものです。2020年12月、「株式会社医療福祉ホールディングス」(福岡市)が、佐賀県でこれらのサービスを行う施設オープンのため、資金調達を実施予定。社会性があるだけでなく、堅実で将来性のあるという「福祉」への投資について、取締役執行役員の野々下みどりさんに語って頂きました。
――まず、医療福祉ホールディングス(以下、医療福祉HD)について教えてください。
2018年設立で、九州にて「訪問看護ステーション」「児童発達支援・放課後等デイサービス」「障がい者グループホーム」「医療・福祉の経営コンサルティング」の事業を展開する企業です。
現在、福岡県小郡市(おごおりし)で訪問看護ステーションを運営。熊本県合志市(こうしし)では、児童発達支援・放課後等デイサービス事業を行っています。
障がい者グループホーム事業については、福岡・熊本両県で2021年から複数の施設をオープンすべく、準備を進めているところです。
一般の方が思う以上に接続・連携が充分とは言えない「医療・福祉・介護」それぞれの領域のプロが集まり知見を共有し、それぞれの利用者さんに最適なサービスを提供する企業です。
――今回プロジェクトの対象となっている「児童発達支援・放課後等デイサービス」とは、どういったものなのでしょうか。
「児童発達支援」は未就学児、「放課後等デイサービス」は原則小学生から18歳までを対象に、療育というものを行っています。療育とは簡単に言うと、障害のある子どもが将来、社会的に自立できるように行う治療・教育のことです。
知的・身体・精神・発達いずれの障がいもそうですが、早い段階で障がいがわかり適切な対応をすることが、その後の成長に大きな影響を与えます。
児童発達支援と放課後等デイサービスで行っていることは大きく二つです。
一つは言語のトレーニング。発語の遅いお子さんに対し、言語聴覚士がトレーニングを行い、語彙を増やしていきます。たとえば「鉛筆」だと「これは鉛筆という名前のもので、字を書くために使うものなんだよ」と丁寧に言葉とその意味・用途を教えます。
もう一つは、ソーシャルスキルのトレーニングです。たとえば自閉症のお子さんの中にはこだわりがあり、「給食の時間にお昼ご飯を食べる」といった「皆と同じタイミングで同じこと」ができない子もいます。もちろん、絶対にいつも「皆と同じタイミングで同じこと」をする必要はありません。
ですが、私たち人間は社会の中で生きています。「皆と同じタイミングで同じこと」ができないと、その子自身が不利益を被ることもあるのです。集団の中で生きるために、最低限出来ないと困ることを教えていきます。
また、子どもに障がいがあることを中々認められない保護者も一定数います。そうした保護者のケアや、何が本当にその子のためになるかといった進路のアドバイスもしています。
――聞いていると、ソーシャルスキルのトレーニングは中々大変そうですね。
そうでもないですよ。やはりまず「楽しいこと」からやっていくんです。
これは熊本県合志市の施設の写真ですが、熊本で知られている「くまモン体操」を保育士と一緒に踊っている様子です。こうやって身体を動かすなど楽しいことから同じことを皆ですることを徐々に学んでいきます。
――なるほど。それなら早い段階から始めれば、少しずつでも集団行動に馴染めそうですね。ところで、障がい者手帳がないと児童発達支援や放課後等デイサービスは受けられないのでしょうか。
いえ、手帳がなくても受けられます。ただ、専門家の意見書などを提出して、市区町村から「受給者証」というものを発行してもらう必要があります。その子が月何日サービスを利用できるかなども、その受給者証で決まります。
――話を聞いているとかなり手厚いサービスでお金がかかりそうですが、利用料は自己負担ですか。
自己負担は原則1割で、残りの9割は国と自治体が負担します。しかも1割の自己負担も、世帯年収によっては0円になったり、自治体独自の助成制度で1割以下になったりするケースもあります。
――2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大で、春先から休校措置が取られました。子どもを対象とする本事業への影響はあったのでしょうか。
運営中の合志市の施設についてお話しますと、休校期間中は利用者の延べ人数が普段の1.5~1.6倍ほどになりました。大前提として、児童発達支援・放課後等デイサービスについては所管する厚生労働省から運営を続けるよう依頼が出ていて、多くの施設が運営を続けていました。
それに、地方ではまだリモートワークができるような仕事はそう多くありません。共働きで両親は出勤しなければならない。しかし学校は休み。そうなると必然的に子どもを施設に預ける必要がある家庭が増え、結果コロナで利用者が増える事態となりました。
このように、景気や社会情勢に関係なくつねに必要されているサービス・施設なんです。
――公金から確実に利用料を回収でき、景気や社会情勢の影響も少ない安定的な事業となると、投資先としては魅力的だと感じました。
そうなんです。利用者や競合他社、そして働いてくれる人がいるかをきちんとリサーチすれば確実に収益が見込める事業です。
実際、東京の都心部などでは多くの事業者が参入し競争も起こっているので、今から参入してもなかなか難しいでしょう。
ですが地方、特に九州ではまだまだ施設が不足しているんです。今回クラウドファンディングで資金を集め、佐賀県に施設をオープンしようとしているのも、ニーズがあるのに施設が不足していることがリサーチで分かったからです。2~3施設作っても充分ニーズがあるようなエリアなんです。
――安定的に収益が上がる事業なら今回のように施設を新築するのではなく、居抜き物件などを探して一刻も早く稼働したほうが儲かるのではと感じます。
その通りで、実は建売住宅で施設に使えそうなところを見つけて、購入を考えていました。ですが「障がいのある人向けの施設にするのはちょっと……」と断られてしまったんです。
これは本当によくあることで、施設に適した空き物件を見つけても、「障がいのある人向けの施設」と説明すると「何かあったら……」と断られてしまうのが実情です。
施設が足りずに困っている子どもや保護者がいる。施設に適した空き物件がある。けれどもそこを施設にすることができない。これが地方の「児童発達支援・放課後等デイサービス」を取り巻く現実です。
そこで、「じゃあ土地を見つけて、子どもたちも使いやすい施設を新築しよう」と今回のプロジェクトで購入する土地を探し出しました。
――そうだったんですね。一方で、これだけ確実性の高い事業だと、クラウドファンディング以外でも資金調達ができるのではないでしょうか。
はい。ですが、特にクラウドリアルティのユーザーは首都圏の方が多いと聞いて、広報・宣伝のためにも、クラウドリアルティのクラウドファンディングで資金調達をしようと決めました。
現状、日本の情報の集積地・発信地はまだ東京です。丸の内、渋谷、六本木……。そうした日本の中心、情報の中心で働いている人々は、色んなことに影響を及ぼせる人たちだとも思うんです。そうした人々に投資をしてもらうだけでなく、「児童発達支援・放課後等デイサービス」について知ってもらい、情報を拡散してほしいと思っています。
また、そうした情報感度の高い東京の人々も、皆が皆東京で生まれ育ったわけではなく、地方出身の人もたくさんいますよね。地方創生の一環として、「地元で児童発達支援・放課後等デイサービスを始めてみようかな」と思ってもらうきっかけにもなればと考えています。
色んな投資がありますが、今回のプロジェクトは「顔が見える投資」です。施設ができることで、子どもや保護者など喜ぶ人が確実にいるものです。
そしてクラウドファンディングで資金調達をして施設を建てられるとなれば、弊社以外にも挑戦する企業や団体が出てきて、より障がいのある人が生きやすい社会にもつながります。ぜひご支援頂ければと思います。
【投資初心者必見】NISAや積立投資といった、まず知っておくべき情報配信中!
その他の記事はこちらから