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証券会社に入社してすぐにリーマンショックを経験した私が、投資初心者に伝えたいこと

元証券マンが、リーマンショックでも積立投資をやめなかった理由を語る

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けた、金融市場の動揺はいまだ続いています。そうした中、資産運用を続けていると気になるのが「今、売るべきなのか」。

そこで今回は、リーマンショック時に大手証券会社に勤務していたライター・ikumiさんに、当時の様子を振り返りつつ、資産防衛のために今どう動くべきと考えるか綴っていただきました。

目次

確定拠出年金の普及や、2014年から始まったNISA制度が1,400万口座となり、投資人口は増えています。しかし最近の相場下落で、せっかく始めた投資で損失を抱えてしまった方も少なくないと思います。

今回は、リーマンショックの経験をもとに、投資初心者が相場変動で不安なときに伝えたいことをまとめてみました。

リーマンショック当時の状況

リーマンショックとは

100年に一度と語られる「リーマンショック」のきっかけは、2008年9月に「大き過ぎて潰せない」と言われていたアメリカの投資銀行・リーマンブラザーズが破綻したことです。

その後、世界的な金融危機の連鎖と株価の値下がりにより世界経済が停滞し、しばらく続きました。

当時の日経平均・為替

2007年、日経平均株価はバブル崩壊後の高値18,000円台をつけ、為替は円安のときで124円でした。

リーマンショックによる相場への影響は、直近高値からの下落率で見ると、日経平均株価で約60%、アメリカの株式の代表的な指標であるNYダウで約50%、ドル円の為替が約40%でした。

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下落率60%というのは、100万円で投資したものが40万円になる計算です。

いつまで続いたのか

日経平均の終値ベースの最安値は、2009年3月の7,054円です。

その後すぐ反発することはできず、日本株は東日本大震災や欧州債務危機の影響などで、10,000円台回復もなかなかできずにいました。

一方、アメリカは度重なる金融緩和により、2009年3月頃から最悪期を脱し、上昇相場へと転換しました。

日本は遅れること2013年、安倍内閣による経済政策のおかげでアベノミクス相場が始まりました。つまり、日経平均が上昇相場になるまで5年かかったのです。

みんながしたこと、儲かった人がしたこと

リーマンブラザーズが破綻した当日、勤務していた証券会社の店内はかなり混乱していました。

売却注文が殺到したことでシステムがパンクしてしまい、1日中電話は鳴り続き、「電話がつながらない」「ATMが利用できない」と店頭にもお客様が殺到しました。

パニック的な売りはしばらく続き、みなさん手当たり次第に売却をしていました。株式だけでなく、長期のつもりで投資したはずの債券、投資信託も含めすべてです。積立投資をしていた人も、積立休止や解約の手続きをしていました。

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売却の注文が一巡した年末ころからは相場は閑散として、買い手がいないため株価はじりじりと下がっていました。

そんな状況の中、儲かった人は買いに走ったわけですが、みんなが底値で買えたかといえば、そうではありませんでした。

最終的に利益を出していた人は、一度に投資をするのではなく、下がれば買い増しをするというように、何度かに分けて投資をしていました。ドルコスト平均法*1に似た考え方です。

積立投資を続けていた方も、結果的には回復が早く、その後の利益に大きく貢献しました。

*1 参考記事:初心者が投資で成功するにはコツコツ長期の積立投資がおすすめ

投資初心者に伝えたい3つのこと

投資初心者の方には、「慌てて売らないこと」「保有しつづけること」、そして「積立投資をすること」の3つをおすすめしています。

現状の把握をして、「慌てて売らないこと」

まずは焦らず、自分の資産について確認してください。手元にある程度の貯金があれば、損失が出ているのに金融資産を売る必要はないでしょう。

慌てて売ってしまうと買い戻すのは難しくなりますし、損失を抱えた場合、貯金で挽回することはできません。

一度相場から離れると、心理的ハードルが上がりなかなか買い直せなくなります。みんなが買っている上昇相場にならないと戻れず、高値掴みにつながる可能性も。

投資期間と目的を持ち、「保有しつづけること」

投資期間を決めないことも、慌てて売る理由になってしまいます。

短期で売買を考えるのであれば、損失の割合を決めて「ここまで下がったら売却する」と決めるのもいいでしょう。

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とはいえ投資初心者の場合は、長期投資ではじめることをおすすめします。リーマンショック時も、マイナスを抱えて保有しなければいけない期間がありましたが、持ち続けて最終的に損失を出さずにすんだ人がたくさんいらっしゃいました。

相場は循環すると言われています。上がり続けることがない代わりに、ずっと下がり続けることもありません。下がっているときには「持ち続ける」ことが大切になってきます。

始める際に「どれくらいの期間で、何のための投資」を決めておくと、慌てて売るのを避けやすくなります。

「積立投資を行うこと」

「安く買って、高く売る」は、言うのは簡単ですが、実際は「株価が上がると買いたくなり、下がると不安になり売りたくなる」のが人間の心理です。

積立投資は、決まった日に決まった金額を買付していく投資方法です。感情に左右されず、投資のタイミングを考えなくて良いことがメリットです。

相場が下がったときは、安いときにたくさん買えるので、積立を続けることが長い目で見た結果につながるでしょう。

一時マイナスとなった投信積立は現在1.3倍に

今回は2008年のリーマンショック当時のことを振り返りつつ、相場が大きく動いたときに大切な3つのことをお伝えしました。

私自身、2008年の入社後すぐに始めたバランスファンドでの投信積立は、一時的に評価がマイナスになりました。

2009年には1割ほど目減りしていましたが、マイナスを抱えながら積立を続けました。その結果、1年半ほどで資産がプラスに転じました。

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ちなみに、先月までは1.5倍ほどになってた投資信託も、新型コロナによる相場変動の影響で今は1.3倍ほどです。

ですが、将来のための資金と思っているので、積立投資は今後も続けていきます。

相場に大きな変動があったときは、短期で投資をしている人は、市場の動向を注視する必要があります。

一方、ここから10年、20年先のために資産形成をされている人は、落ち着いて投資を続けても良いのではないでしょうか。

私の話が皆さんの参考になれば、幸いです。


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Profile

金融ライター
ikumi

国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等の、資産にまつわる相談に対応。夫の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動開始。不妊治療を経て第一子を出産し、絶賛子育て奮闘中。


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