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伊藤将人

コロナの影響を受けてもシェアリングエコノミーが今後拡大していく理由

シェアリングエコノミーとは新しい社会の在り方である

クラウドリアルティでは、自社サービスだけでなく様々な投資の芽についても情報提供をしています。今回のテーマは「シェアリングエコノミー」。新型コロナウイルス感染症の影響もありましたが、今後も拡大していくことが見込まれるシェアリングエコノミーの現状と今後の課題について、ライターの伊藤将人さんの寄稿です。

シェアリングエコノミーは、2010年代にビジネスの在り方・社会の在り方を大きく変えました。なんでも所有することが当たり前だった価値観を根本から転換し、他人と共有・交換して利用することの可能性を多くの人に感じさせました。

しかし2020年、新型コロナウイルス感染症によってシェアリングエコノミー産業は大きな打撃を受けました。特に、空間の運営や人がリアルに会う機会を仲介してきたサービスは厳しい状況に追い込まれています。

一方、コロナがシェアリングエコノミーの本来あるべき姿を私たちに気づかせてくれた面もあります。これからのシェアリングエコノミーはどうなっていくのか、改めて考えてみましょう。

シェアリングエコノミーの現状と広まる背景

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シェアリングエコノミーとは物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組みを指します。日本語では共有経済と表されることもあります。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査によると、2018年度に1兆8,874億円を超えた市場規模は、2030年度には11兆1,275億円と約6倍になると予測されています。この大きな流れの背後には消費形態のモノ消費→コト消費へという流れがあります。

先進諸国では物質的に多くの人が満たされてきています。このような社会ではモノを「所有すること」は必ずしも満足度や幸福度につながらず、「体験やサービス」「人とのつながり」が消費の対象となります。シェアリングエコノミーは「モノを消費せずに人とつながりシェアするサービス」である点で、コト消費社会そのものなのです。

5つのシェアリングエコノミー領域の展開可能性

一口にシェアリングエコノミーといっても、その内実はさまざまです。ここではシェアリングエコノミーを5つにわけてそれぞれのカテゴリーの特徴と可能性を検討してみます。

1. Space 空間:空き部屋を貸したい人と部屋を借りたい旅人とをつなぐWebサービスAirbnbや定額住み放題の多拠点生活プラットフォームADDressがこれにあたります。土地や建物は個人が所有できるものの中で最も高いもののひとつです。所有せずにシェアすることでさまざまな魅力的な空間を体験でき維持費もかからないため、高いものを購入し保持することのリスクを感じる人々から徐々に普及しています。

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2. Skill スキル:「知識・スキル・経験」など、みんなの得意を気軽に売り買いできるスキルマーケットcoconalaや、「ネットで最短即日発注」ができるフリーランスプラットフォームLancersがこれにあたります。「企業に頼むのは高い」けれども「個人では簡単に習得できない」スキルは多々あります。そこでスキルを持った個人とスキルを求める個人や企業をマッチングするのがスキルのシェアリングエコノミーです。これは働き方の多様化が密接に関係しています。

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3. Mobility 移動:自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリUberがこれにあたります。車や自転車を所有することなくスマホ1つでシェアしたり、他人の車で移動できたりするのが移動のシェアリングエコノミーの特徴。制度上の制約が多いため日本ではなかなか普及していませんが、公共交通機関が脆弱な地域の課題解決にもつながるため近年は自治体も熱い視線を送っています。MaaS(Mobility as a Service)は移動のシェアリングエコノミーと密接に関係します。

4. Money お金:国内最大級のクラウドファンディングサービスMakuakeや、本Webサイト運営者で、不動産に特化した投資型クラウドファンディングサービスを提供するCrowd Realtyはこれにあたります。シェアリングエコノミーでは、資産を活用したい人とそれを金銭的に応援したい人をつなぐ仲介役が果たす役割が重要です。Crowd Realtyのような特化型の仲介役は今後増えていくことが予想されます。

5. Goods モノ:日本最大級の画像素材サイトPIXTAや、オンラインオークションサイト・モバオクがこれにあたります。サブスクリプションでモノが何度でも活用できたり、個人間のモノの交換を促進したりするこれらのプラットフォームは、持続可能な生活の実現に寄与しています。モノのシェアリングエコノミーは使っては捨てる消費型社会から循環型経済への変化(サーキュラーエコノミーやSDGsの実現)も担っているのです。

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シェアリングエコノミー 領域map, 一般社団法人シェアリングエコノミー協会, 2020
https://sharing-economy.jp/ja/news/map202003/

コロナとシェアリングエコノミー

ここまで見てきたように、さまざまなかたちで新しい社会の在り方を提案し拡大してきたシェアリングエコノミーですが、多くのサービスがコロナによって影響を受けました。なぜなら外出自粛や人と会うことの制限要請は、シェアリングエコノミーの基本となる「人と人のつながり」「物や体験・場所の共有」ができない状況を生み出したのです。シェアリングエコノミーを代表する企業AirbnbやUberは現在進行形でコロナによる大きな影響を受けています。

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一方でUberEats等のフードデリバリーサービスはコロナを機に日本で一気に知名度を上げニーズも高まりました。スーパーマーケットに行くのも厳しく毎日自炊するのも疲れる中で、飲食店にとっても顧客にとってもWin-winなフードデリバリーサービスは人々にその価値を認められたのです。UberEats等の成功は地域内でのデリバリーサービス普及にも大きな影響を与え、地域経済にも新たな可能性を感じさせました。見方によってはコロナによって本当に人のためになる価値あるシェアリングエコノミーの在り方がわかったともいえるでしょう。

シェアリングエコノミーの課題と可能性

コロナによって大小さまざまな影響を受けたシェアリングエコノミー。今後もその規模は多様性を増しながら拡大することが予想されますがいくつか課題もあります。大きいのは保険・補償制度の課題です。

シェアリングエコノミーは比較的新しいサービス形態のため制度の整備が追い付いていない面があります。トラブルや事故が起きた場合に既存の保険が適応されない、責任の所在や補償範囲が不明確などの課題があげられており、これらはコロナ禍にニュースでも取り上げられました。

三井住友海上が民泊経営者向けにはじめた民泊運営安心サポートパックなど新しいものも出てきましたが、補償制度設計や保険保障の拡大はシェアリングエコノミーが普及するために必要なポイントです。これは保険・補償だけでなく法律の整備についても同様のことがいえるため、官民協働で環境を整備していく必要があります。

その他にも個人情報やサービス享受の地域間格差などの課題があります。しかし課題は市場規模が拡大し多くの人が利用しそのメリットを感じる中で少しずつ解決していくものと思われます。

そこで重要なのは、シェアリングエコノミーはビジネスのいちアプローチではなく、新しい社会の在り方であるということです。シェアリングエコノミーによって社会課題を解決し1人でも多くの人が幸せに暮らせる社会を実現する。

この理念をモノサシにこれからのシェアリングエコノミーの在り方を考えていくことが大切です。

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Profile

まちづくりライター
伊藤将人

1996年長野県生まれ。一橋大学社会学研究科にて地方移住と観光に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県内外で観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・調査・PRを手がける。訪日観光客向けWebサイトNAGANO TRIP、地域考察WebメディアKAYAKURA運営。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など執筆多数。東京都国立市と長野県の2拠点居住中.

<参考資料>


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