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山下耕太郎

投資歴20年以上の金融ライターが語る、不動産投資が「ミドルリスク・ミドルリターン」な理由

不動産投資初心者が知っておくべきこととは?

実物不動産投資の魅力はズバリ、家賃収入。入居者がいれば、預貯金よりも高い利回りの収入が毎月安定的に入ってくることが期待できます。

しかし、不動産投資は元本が保証されているわけではありません。そこで、金融ライターの山下耕太郎さんに、初心者が実物不動産投資を始める際に知っておくべきことや、実物不動産投資のメリット・デメリットについてご寄稿頂きました。

目次

実物不動産投資とは

実物不動産投資は、不動産事業に資金を投下して利益を得る目的で行います。

不動産の利益には、毎月の賃貸収入で得られる「インカムゲイン」と、不動産の売却益である「キャピタルゲイン」の2種類があります。

1980年代のバブル期に流行したのは、キャピタルゲイン狙いの短期投資。土地の価格がどんどん上がっていたからです。しかし、近年は毎月安定して入ってくる賃貸収入を期待するインカムゲインが主流になっています。

もちろん、今でもよい実物不動産を安く買えば売却益が狙えます。ただ、はじめから売却益を狙って実物不動産を買うのはプロの投資家でも難しいのが現実。まずはきちんと家賃収入が見込める物件を探すことが基本です。

また、最初は小さな金額から始めるようにしましょう。物件の選び方から契約、賃貸運営など一連の手順を踏んでから大きな物件を取得するようにするのです。金額が少なければ、万が一失敗してもやり直しがききます。

それには、マンションの一室(区分)を対象にした区分所有マンション投資が最適。少額からはじめられ、物件も豊富で管理も楽だからです。今回は、この区分所有マンションへの投資を念頭に解説します。

実物不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンの投資

リスクとは「不確実性」のことで、投資した結果、プラスになるのかマイナスになるのかわからない収益の変動幅のことをいいます。リターンとは収益そのもののことです。

現在の日本において、「ローリスク・ローリターン」の代表は預貯金です。元本が減るリスクはないものの、「三菱UFJ銀行」や「三井住友銀行」などメガバンクの定期預金でも年利0.010%とリターンもほとんどありません。

一方、株式投資やFXは「ハイリスク・ハイリターン」です。うまくいった場合に大きな利益を得られますが、投資した資金が返ってこない場合もあります。

実物不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」です。実物不動産の価格も変動しますが、株式のように短期間で大きく動くリスクは小さく、リターンも比較的安定しています。また、元本が保証されていないものの、預貯金よりは高いリターンを得ることができるからです。

実物不動産投資は、株やFXなど他の投資と比べてもリスクとリターンのバランスがいい商品です。基本的にすべての金融商品にはリスクとリターンがあります。

実物不動産投資をしている人

「実物不動産投資」というとお金持ちがしているイメージですが、実際にはどのような人が行っているのでしょうか。不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家(けんびや)」が同サイトの会員を対象に行なった「不動投資に関する意識調査(2016年)」によると、以下のような結果でした。

職種

会社員56%
自営業12.1%
法人・団体役員7.4%

年齢

45~49歳25.3%
40~44歳18.5%
35~39歳13.6%

年収

700~1000万円23.8%
500~700万円18.5%
1000万円以上17.7%
500万円以下17.4%

職業では会社員が多く、年齢も比較的若い30~40代が積極的に実物不動産投資を行っていることがわかります。年収はやや高めの傾向があるものの、500万円以下の人も17.4%おり、現代において実物不動産投資の敷居はそこまで高くないことがわかります。

実物不動産投資のメリット

毎月安定的な収入が期待できる

実物不動産投資の一番の魅力は、自分自身が働かなくても賃料という固定収入が毎月入ってくる点です。入居者を確保できれば、病気や怪我で働けなくなっても、毎月通帳に家賃が振り込まれます。また、株式投資のように毎日ニュースや株価をチェックする必要はありません。

入居者の募集やクレーム対応、家賃の集金を依頼できる賃貸管理会社というものもあります。賃貸管理会社を使えば、実作業はほとんど発生しません。

売却益も期待できる

実物不動産投資の基本はインカムゲインですが、いい物件を安く買えれば売却益を得られることもあります。

インフレ対策になる

インフレーション(インフレ)とは、モノの価値が上がることです。実物不動産は現物資産なので、インフレ対策にもなります。実物不動産の価格や家賃は、物価の上昇と連動するからです。

現金しか保有していない場合、インフレ率分だけお金の価値は下がります。しかし、実物不動産を保有していれば、インフレリスクから資産を守ることができるのです。

ローンを利用できる

実物不動産は、他の金融商品と比べて高額です。しかし、実物不動産投資ではローンを組むことができます。自己資金をおさえて投資を実行できるので、100万円の資金で3000万円の物件を買うことも可能です。会社勤めの人は投資ローンの審査が通りやすいので、自分の属性を活かしてはじめやすい投資といえるでしょう。ただ、賃料が入らなくなるとすぐにローンの返済が滞るような返済計画を組むのは危険です。属性でローンできる金額と、何かあったときに返済できる金額をよく考えてからローンを組む必要があります。

実物不動産投資のデメリット

実物不動産投資は元本が保証されているわけではありません。リスクについても確認しておきましょう。

金利上昇リスク

実物不動産投資はローンを利用するので、金利の動向をチェックすることは必須です。金利には「固定金利」と「変動金利」があります。固定金利は、金利の下降局面が中~長期続くと、割高な金利を払い続けるリスクがあります。変動金利は、金利上昇により返済金額が大きくなってしまいます。金利が上昇した場合に、より低い金利の金融機関での借り換え検討も必要です。ですから、普段から複数の金融機関にアプローチするようにしましょう。

災害リスク

実物不動産は、地震や台風などの天災で物件に被害がでる可能性もあります。災害リスクを回避するためには、火災保険や地震保険に加入することが必要ですが、あまり保険を充実させると費用がふくらんでしまいます。

物件を購入する際は、その物件の自治体のハザードマップの確認は必須です。ハザードマップとは、被災想定区域のみならず、避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図のことです。自治体のホームページなどで確認できます。

空室リスク

実物不動産投資の最大のリスクは、空室リスクです。空室が発生すると想定していた利回りが低下することになるので、なるべく空室期間を短くすることが大切です。

空室リスクを回避するためには「条件のいい物件を選ぶ」「競合物件に対する魅力を高める」ことが必要です。

条件のいい物件とは、都心の駅から徒歩10分圏以内の築浅物件です。よほど周辺の環境が悪くない限り、高い入居率を確保でるからです。ただし、空率リスクが低い分、利回りはやや低めになるので注意しましょう。

次に、競合物件に対する魅力を高める方法としては、家賃を引き下げたり、リフォームを行ったりして周辺物件と差別化を図る手法があります。ただ、家賃の引き下げは利回り低下になりますし、リフォームもお金がかかるので、費用対効果を意識して、どこまで安くできるか、お金をかけられるかを前もって検討しておくことをおすすめします。

実物不動産投資の種類

初心者が実物不動産投資をはじめる場合悩むのが、「区分所有」か「一棟もの」という点。

区分所有とは、マンションの一室を購入することです。マンションをまるごと全部購入することを「一棟もの投資」といいます。さらに、新築と中古という選択肢もあるので、大まかに言って以下の4つの選択肢があります。

中古区分所有権(マンション)
新築区分所有権(マンション)
中古一棟
新築一棟

初心者には、区分所有権がおすすめです。少額から手に入れることができ、購入後の管理もすべて管理会社に任せられるからです。

区分マンション投資専門の金融機関もあり、購入者の属性によっては頭金10万円やフルローン(自己資金なしで、全額を金融機関からの融資で調達できるローン)でマンションを購入することもできます。

また、販売戸数も多く、23区内の主要駅近くの物件を手に入れることも可能です。ただ、部屋が一つしかないので、空室が発生した月は家賃が1円も入らず、ローンを自腹で返済する必要があるのです。

一棟ものは複数の部屋があるので、いくつか空室が出ても家賃が1円も入ってこないということは考えづらく、キャッシュ(現金)を手に入れやすいというメリットがあります。ただし、ある程度の自己資金が必要になります。通常、1棟ものでは、物件価格の約2割の自己資金が必要です。詳しく説明すると、金融機関から融資を受けるために物件価格の約1割の自己資金と、その他諸費用として物件価格の約1割を準備する必要があります。

つまり、5,000万円の一棟アパートを購入しようとすると、1,000万円(5,000万円✕2割)の資金が必要になるのです。

不動産投資の利回り

区分マンション(ワンルームタイプ)投資の期待利回りは、大都市圏で4~5%前後です。不動産投資全般の利回りについては、以下の記事を参考にしてください。

実物不動産の利回り計算方法は?J-REIT・不動産クラウドファンディングとの比較は?

まとめ

今回は、初心者が実物不動産投資を始める際に必要な知識についてまとめました。実物不動産投資は、入居者がいれば毎月安定して預貯金より高い利回りが見込める家賃収入が入ってきます。また、不動産価格の変動も株式などと比べて小さいので、「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資と言われています。

「ミドルリスク・ミドルリターン」とはいえ、元本が保証されているわけではありません。空室リスクや災害リスクなど、さまざまなリスクについても確認しておく必要があります。

将来の資産形成に役立つ実物不動産投資ですが、ある程度まとまった資金が要ります。また、ローンを組む必要もあるでしょう。

少額から気軽に不動産投資を始めたい場合は、不動産クラウドファンディングやJ-REITからはじめてみるのもおすすめです。

Profile

金融・投資ライター
山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011


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