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秦創平

匿名組合契約とは?実際の投資例も合わせて解説!

契約の一形態である「匿名組合」について解説

ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで出資する際に目にする「匿名組合」という言葉。組合とついていますが、契約の一形態です。この匿名組合について、不動産会社での勤務経験もある不動産ライター・秦創平さんにご解説いただきました。

匿名組合契約の仕組みや特徴

ソーシャルレンディングやクラウドファンディングなど、気軽に始められる投資手法が増えてきた中、「匿名組合」という用語を目にする機会も多いのではないでしょうか。

しかし、投資に明るい人でなければなかなか理解しにくい用語でもあります。

匿名組合型の投資は、その性質上投資初心者の方におすすめです。この記事では、匿名組合に関する仕組みや特徴、そして実際の投資の例について解説します。

匿名組合とは?

匿名組合とは、投資家と営業者とが1対1で結ぶ「契約」のことです。詳しく解説していきます。

商法に規定されている契約の一種

「組合」という名前がついていることから、集団のことを指していると思う方も多いのでは。しかし、匿名組合は商法に規定されている契約形態の一種です。

事業を営業・運営する営業者がいて、組合員はその事業に出資します。営業者は事業によって得た利益を各組合員に分配するという仕組みです。

投資家と営業者との二者間契約

「組合」とつくので、何人かの投資家が集まって出資することをイメージする人もいるかもしれませんが、匿名組合は投資家と営業者との二者間契約です。匿名組合において、三者間以上の契約は認められていません。なお、個人間だけではなく、法人間でも契約を結ぶことができます。

契約書には、1人の投資家と営業者との名前しか記載されず、投資家は他の投資家が誰なのかなど、詳細を知ることはできません。よって匿名組合では、投資運用に関わる意思決定に関し、ほかの投資家と話し合いをすることもできません。

匿名組合契約のメリット

なぜ匿名組合という契約方法が利用されるのか。まずはそのメリットから解説します。

リスクが低い

投資家は、あくまで自分が出資した範囲内でしか事業に関する責任を負わず、事業がうまくいかなかったとしても、追加出資の義務も負いません。つまり、出資した額が元本割れする可能性はありますが、それ以上の責任・リスクを負うことはないのです。

手間がかからない

匿名組合契約では、営業者が自らの判断ですべての投資運用を進めます。つまり、投資家は投資運用に関して自分で意思決定をする必要がありません。

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極端な言い方をすると、出資さえしたらあとは放置して配当を受け取るだけ、という投資スタイルも取れます。投資運用に関しては、専門性を持った営業者に任せておけば問題ありません。

経験や専門知識が少なくてもスタートできるので、匿名組合型投資は投資初心者に向いている投資と言えるでしょう。

匿名性が強い

すでに解説したとおり、匿名組合契約では、出資者と営業者とが1対1で契約を結びます。契約書に他の投資家の名前は登場しないし、他に誰がその事業に投資しているのか知ることもできません。

特に法人にとって秘密裏に投資できるのはメリットです。この仕組みを利用して、大企業が競合に知られないよう新しい事業を始めるということもあります。

匿名組合契約のデメリット

メリットの次に、デメリットもご紹介します。

流動性が低い

投資家は自分がお金を拠出した事業や投資について、持分や処分権を持てません。つまり、匿名組合契約では事業に関する権利や所有権を他人に売ることはできないのです。

また、一般的に、契約を解約するためには解約金の支払いを要します。出資した事業がうまくいかなかったから損切りしたいと思ってもハードルが高い点はデメリットと言えます。

事業内容に関知できない

匿名組合では、事業の意思決定権はすべて営業者が握っており、投資家側は口出しができません。

事業がうまくいっていない場合でも、投資家が自分の意思を事業に反映させることは不可能です。「投資運用に手間がかからない」のと表裏一体のデメリットです。

元本が保証されない

営業者は、自らが運営する事業に関して利益の分配額や元本を保証しません。事業がうまくいかなければ、投資家は配当を受け取れない可能性もあります。

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自分が出資した範囲内でしか責任を負わない反面、必ず配当を受け取れるわけではないので、あらかじめ認識したうえで出資することが重要です。

匿名組合型投資の例

匿名組合は、クラウドファンディング形式の投資や、太陽光などクリーンエネルギー推進事業に関する出資募集などで利用されることが多いです。

匿名組合型投資の手順

匿名組合型投資は一般的に以下の手順で行われます。

  1. 各投資家が営業者と個別に匿名組合契約を締結する
  2. 各投資家がプロジェクトに出資する
  3. 営業者が事業を営業・運営する
  4. 営業者は事業によって得た利益を各投資家に分配する

事業に関する所有権は営業者が保有し、投資家は持分や所有権を持ちません。このため、投資家側で事業に関する登記対応なども不要です。

投資家にとっては、契約を1本結べばそれ以外の手続きが発生しないので、手間が少なくて済みます。

実際に、匿名組合契約を利用した投資例をご紹介します。

不動産投資

不動産投資には「不動産小口化商品」というものがあり、これは匿名組合契約の仕組みを利用しています。おおよそ10年以内など、短期間での運用を目指すものが多いです。

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また、1口の出資額が少なめに設定されている商品も多いので、投資初心者に向いています。

一方、収益の分配率が高く設定されているものは少ないです。

オペレーティングリース

営業者が出資金を募って航空機や船舶を購入し、航空会社などに貸し出して運用する投資のことをオペレーティングリースと呼びます。

オペレーティングリースも匿名組合の仕組みが利用されています。航空機のオペレーティングリースなどは、価格の大きさを利用した節税を目的とするものが多いです。

節税には減価償却の制度を利用します。減価償却とは、資産の経年劣化によって税制上の価値が減っていくという仕組みです。目減りした資産価値は、確定申告で損失として計上できます。

損失を所得と合算して計上することによって、課税対象額を減らせるのが、減価償却制度を利用した節税の仕組みです。

オペレーティングリースは不動産とは違い、どちらかというと直接的な収益の獲得を目指しているものではありません。

事業者や事業内容について事前にしっかり調べることが重要

ここまで解説してきたように、匿名組合型投資は初心者におすすめできる投資スタイルです。安心度は高いですが、実際に投資するのであれば、出資金を募集している事業者や事業内容などのリサーチはもちろん必要です。

事業者はその事業について実績を持っているか、分配はどのような方法でいつ行われるのかなど、募集内容をしっかり把握しておきましょう。


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Profile

フリーライター
秦創平

国内不動産会社に10年、海外不動産投資会社に2年勤務経験アリ。現在は不動産関連の記事を中心に執筆するフリーライターとして活動中


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