マイクロファイナンス
マイクロファイナンス / microfinance
マイクロファイナンスとは、開発途上国の貧困層に対して小口の融資を行い、企業やスキルアップによる就職など経済的自立につなげる金融サービスのことです。
開発途上国では、雇用機会が乏しく就職すら困難な状況にある人々がいます。彼ら彼女らは資金がなく銀行口座すら持てないため、貯蓄や保険といった日本では一般的な金融サービスにもアクセスできていません。
こうした貧困が新たな貧困を生む負のサイクルを解決して、そこから脱出することを目的とした金融サービスがマイクロファイナンスです。
銀行や信用組合などの金融機関のほか、NGOやNPOなどもマイクロファイナンスサービスを提供しています。
融資の方法も様々で、銀行の場合は融資をマイクロファイナンス機関が行い、NPOなどの支援団体の場合はその団体を通じて融資が行われます。
銀行、NPOなど事業者の形態は違えど、共通しているのは貧困層の経済的自立という目標です。
マイクロファイナンスの拡大に貢献したのは、1980年代にバングラデシュで誕生したグラミン銀行です。グラミン銀行の特徴は、お金に困っている人々が5人でひとつのグループを作ると、お互いに連帯保証人となり無担保でお金を借りることができる点。
この手法はグループレンディングと呼ばれ、返済率は平均98%に達しており、貧困者が自立できる環境作りを目指しています。創始者のムハマド・ユヌス氏は2006年にノーベル平和賞を受賞しました。2018年、グラミン銀行は日本にも進出。貧困のひとつの解決策として注目されています。
とはいえ、21世紀に入ると産業が成熟期を迎え、マイクロファイナンスに対してもさまざまな不満や要求が噴出、それに応えるべく新たなサービスが生まれています。
BOPビジネスもその一つです。BOPとは(Base of the Economic Pyramid)の略で、年間所得が購買力平価(PPP)ベースで、3,000ドル以下の低所得層を指す言葉です。このBOP層に対するビジネスを提供することでその国生活水準の向上に貢献し、さらに企業価値を高めるべく、このようなビジネスが多く生まれています。
たとえば、日本企業の「味の素」は調味料を1回使い切りの小分けにして販売することで、より多くのニーズに応えマーケットを開拓しています。その他にもフィリピンの「ココテック」という会社は廃棄されるココナッツの殻にある食物繊維に注目して、ゴミから付加価値を作り出すビジネスとして商品化に成功しています。
世界にはビジネスを通じて企業と貧困者が繋がり「Win-Win」となる関係を目指したサービスがが沢山あり、マイクロファイナンスもそのひとつです。