テレワーク推進で高まる、貸し会議室需要
(スペイシー執行役員インタビュー)

2018年12月18日

「ワークスペース創出プロジェクト」をスタートさせる株式会社スペイシー(以下、「スペイシー」)。今回のプロジェクトのテーマである「ワークスペース不足」の課題の背景、またプロジェクトにかける想いを同社執行役員の武田正史氏にお話を伺いました。

株式会社スペイシー執行役員 武田 正史氏
株式会社スペイシー
執行役員 武田正史氏

日本は政府・企業が「働き方改革」を推進しています。その働き方改革の一つの重要なキーワードが「テレワーク」です。政府が定めた「世界最先端IT国家創造宣言」では「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度(11.5%)比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者の10%以上」という目標が掲げられています*。まだまだその目標には遠い状態ではありますが、政府のサポートなどを通じて今後の期待が高まっているのが現状です。テレワークが推進されることによって、オフィスや自宅以外のワークスペース・貸し会議室の需要が高まってくることが考えられます。

様々な種類のテレワーク

テレワークはICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方と定義されています(厚生労働省、総務省)。このテレワークには大きく「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」という3つのスタイルがあります。以下にそれを簡単にまとめてみました。

1. 在宅勤務
終日、所属するオフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする勤務形態。部分在宅勤務という形態もあります。1日の業務をすべて自宅の執務環境の中で行います。

2. モバイルワーク
移動中や顧客先、カフェなどを就業場所とする勤務形態です。営業など外出が多い業務の場合は、複数の場所で効率的に業務を行い生産性向上の効果が期待できます。

3. サテライトオフィス勤務
所属するオフィス以外の他のオフィスや遠隔勤務用の施設を就業場所とする勤務形態です。例えば、所属するオフィス以外の他のオフィスが従業員の自宅の近くにある場合、そのオフィス内にテレワーク専用の作業スペースを設けるなどして職住近接環境を確保するものです。

テレワークによってもたらされる効果

テレワークの効果として、どのようなものがあるのでしょうか。厚生労働省が平成27年度に「テレワークモデル実証事業」で行ったアンケート*によると、企業側から見ると優秀な人材の確保や雇用継続につながるほか、通勤費やオフィス維持費などを削減できたという声があがっているようです。一方、従業員は家族と過ごす時間や趣味の時間が増えたなどの声がありました。

ここで注目したいのは企業側のメリットである「オフィス維持費の削減」です。テレワークの導入にあたってICT環境の整備などの初期投資は必要になりますが、営業拠点の統合や廃止、スペースの縮小を図ることができ、長期的なコスト削減にはつながると言われています。

このコスト削減を目指して、企業側がオフィススペースを縮小していくことで、会議室スペースは減っていくことが見込まれます。実際、多くの会社で会議室スペースが満室状態のようなケースが起きています。その結果、打ち合わせや会議を外でする人も増えます。「きょう会議室一杯だから、近くのカフェで」という体験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?

カフェでの打ち合わせが情報漏洩につながる?

ICT環境の整備の中で、テレワークが普及すると課題になるのはセキュリティ面です。ルールや技術的なセキュリティ対策は会社で取り組むことができますが、問題は物理的なセキュリティです。例えば、カフェなどで打ち合わせをするような場合、横に誰が座っているかわかりません。情報漏洩は、こうしたパブリックなスペースで起きることも少なくありません。

貸し会議室・レンタルスペース等のワークスペースのシェアサービスを提供するスペイシーの武田正史執行役員は「テレワーク普及で多くの人が多様な働き方をしていくなかで、法整備やICTなど技術的な面はどんどん進化しています。それなのに、実際に打ち合わせをする際に使われるケースで多いのがカフェというのは課題が残ると思います。」と話します。

ワークスペースの提供を通じて働き方改革を促進

スペイシーが提供するシェアサービスでは、ワークスペースを貸したい人と借りたい人をつなげることを実現しています。価格も安く、1時間500円程度からワークスペースを借りることができます。スマートフォンなどで直前予約もできるユーザー体験も提供しています。すでにワークスペースの登録数は5,000物件を超え、会員数は16万人を突破、毎月平均11.0%増加しています(2018年11月時点)。また月間予約申込数も約2万件と前年同月比で約45.7%増え、大きな成長を続けており、ニーズの高さを証明しています(2018年10月時点)。同時に、法人会員は情報通信業などを中心に増え続け、プラン開始5ヶ月目にして200社を突破しました(2018年11月時点)。

「打ち合わせや作業をする場所を覗き見されづらい、盗み聞きされない会議室スペースでしっかりと行うことで、物理的なセキュリティ対策になります。さらに、在宅勤務の方にとっても、自宅と近いが自宅ではないワークスペースが必要になってくると思っています。自宅はやはり生活の場で、なかなか仕事に集中できるような環境をつくるのは難しいと考えています。」

スペイシーでは、こうした課題を解決していくために、ワークスペースの拡大を図っていると話します。前出の武田正史執行役員は「働く人たちの環境をもっと快適にしていくためには、たくさんの方々にこの取り組みを知ってもらいたい。そんな気持ちからクラウドリアルティでこのプロジェクトを立ち上げ、出資者の方々を募ることにしました。」と話します。

現在、スペイシーは自社で「初期投資100万円以下で始められる格安の貸し会議室ビジネス」を提案しているとか。「スペイシーは空き室の遊休時間を活用したいオーナーと所有することなくスペースを活用したいユーザーをマッチングさせる予約サービスです。ワークスペースを増やしていくためには、貸し会議室のオーナーを増やしていく必要もあります。民泊のターゲットは一般のホテルに泊まらない外国人で、民泊新法などの新しいルールもでき、参入障壁は高くなっていますが、貸し会議室は一般のビジネスパーソンが対象で、法規制なども障壁は高くありません。宿泊ではないので運用の手間も少ないのが魅力です。」と前出の武田執行役員。

ワークスペース不足解消にもつながる貸し会議室への投資は新しい商品として、まさにここから拡大していきそうです。

* 出典:厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革 ~テレワークの運用・導入ガイドブック~」

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