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クラウドリアルティでは、様々な投資・資産運用についての情報を提供しています。今回ご紹介するのは「腕時計投資」。時とともに資産価値が上昇することもある腕時計を投資対象とする際の注意点について、ライターの織瀬ゆりさんが解説します。
突然ですが、年利5%と聞いてどう思うでしょうか。
いまや普通預金に預けていてもメガバンクをはじめとした、一般的な銀行では金利0.001%がほとんど。つまり100万円を1年間預けたところで、10円しか増えません。
そのような状況もあいまって、「かなり利回りがいい!」と感じる方も多いはず。
そんな中、場合によっては利回りが10%に達することもある「腕時計投資」といったニッチな投資ジャンルがあることをご存じでしょうか。
今回は、時計好きが趣味も兼ねて楽しむ「腕時計投資」についてご紹介します。
「腕時計投資」とは主に自分が好きな腕時計を購入し、その時計の相場が上がった時に売却して売却益を得る投資方法のことを指します。
また、投資信託や株といった他の投資と最も異なり、「つけて楽しむ」ことができるのも時計好きにとっては嬉しいところ。
腕時計には「機械式」と「電池式」の2種類が存在し、一般的に馴染みがあるのは電池式時計で文字通り電池の力で動きます。
皆さんも時計屋さんに行って、腕時計の電池交換をお願いした経験があるのではないでしょうか。
一方、腕時計投資に使われるのは機械式時計で、機械式時計は電池の力を使わずに複雑に組み上げられた100を超えるパーツが生み出す動力で動作しています。
そのため、機械式時計は電池式時計に比べて高価であり、いわば伝統工芸品のようなものだということができるでしょう。
腕時計投資に使われる高級時計はいくつかあるものの、中でも代表格といえるのが時計の王様ともいわれる「ロレックス」です。
ロレックスは世界で最も有名な時計メーカーといっても過言ではないでしょう。その知名度故、アンチが多いのも事実。しかし、時計マニアの間では「ロレックスに始まりロレックスに戻る」と言われる程、その完成度の高さに魅了されるファンが多く存在します。
今では当たり前となっている時計の「防水機能」、腕の動きでゼンマイが巻かれ、時計が動き続ける「自動巻機構」、午前0時になると瞬時に日付が変わる「デイトジャスト機構」はロレックスが開発したもの。
その技術力を世間に知らしめるべく、ドーバー海峡横断、エベレスト登頂といった過酷な環境下でも耐えうる実用性があることをメディアを駆使して大々的に宣伝してきました。
ロレックスの時計全般に言えることはデザインがシンプルであり、変わらないこと。50年前と現在のロレックスを比較しても基本デザインはほぼ変わっていないモデルが多く、ブランドのアイコンとして存在しています。
時計に興味がない人であっても一度は見たことがあると感じるのではないでしょうか。
ロレックスは他のブランドと比較し、ずば抜けた資産価値を有しています。
これほど値崩れのしない時計は他にないといっても過言ではありません。
それは圧倒的知名度とステータス性によるところが大きいと考えられますが、最も注目すべきはその流通量です。ロレックスは世界的な人気に対し供給が足りていませんが、これはその価値を守るためにわざと供給を絞るブランド戦略なのです。
ロレックスの中でも特に人気のあるスポーツモデルといわれるラインは正規販売店に行ってもまず在庫がありません。
お店の人に尋ねてみても、「品薄で在庫がありません」と言われてしまいます。
つまり、正規販売店では人気モデルを買うことができない(≒非常に買いづらい)のです。一般的な感覚ではびっくりするかもしれませんが、ロレックスファンの間では常識となっています。
その最たる例として超人気モデル「デイトナ」が挙げられます。このモデルは圧倒的に流通が少なく、正規販売店で買うのはほぼ不可能。中古品が定価の倍近い値段で販売されている等、ロレックスのブランド力を証明する象徴的なモデルとなっています。
ロレックスではないものの実際に腕時計の価値が上がった話をひとつ、お伝えします。
私の夫は大の時計好きなのですが、夫がかねてより探し求めていたIWCの時計がありました。1980年代に発売されたその時計は、そもそもの発売本数が非常に少なかったようで、ほとんど市場に出回らず希少価値が高い時計でもあったそうです。時計のアンティークショップをはしごすること数ヶ月、夫は約32万円でその時計を購入することに。
そしてつい先日、夫がふと立ち寄った本屋さんで時計雑誌を手にしたところ、その時計の価格が約50万円ほどに上がっていたそうです。主人が購入した時計はそもそもの販売本数が少なかったこともありますが、この話を聞いて、腕時計は年数を経てから価値が上がる可能性を秘めているのだと気づかされました。
腕時計は、ブランドさえ見極めればそこまで大幅に価値が下がることはありません。
実際、私も祖母からロレックスの腕時計を譲り受けましたが、祖母が購入してからもう数十年経つものの未だに一定の価値を有しています。機械式時計は定期的にきちんとメンテナンスを行っていれば、世代を越えて長く使うことができるのも魅力の一つ。
もし時計が好きであれば、自分が好きな時計を購入する際に資産価値を考えて選んでみるのもまた楽しいかもしれません。
さて、腕時計投資に対する理解が少し深まったところで、ここでは腕時計投資の主な注意点を3つ取り上げてみました。
さきほどのロレックスを例に挙げれば、投資対象となる腕時計を選別するのにシリアルナンバーや製造年度といった細かな点まで調べる必要があります。
同じモデルであっても、製造年度によって販売数が異なることから、価格に大きな差が生じます。
そのため、そもそも腕時計自体に興味が持てないと楽しみを見出すことが難しいといえるでしょう。
株や投資信託といった金融商品と異なり、腕時計投資は現物を所持しなければならないことから紛失や盗難にあう恐れがあります。
そのため、普段何かと腕時計を腕から外す癖がある人は十分注意しなければならないのはもちろんのこと、飲みの席などにはつけていかないほうが無難でしょう。
以前お伝えしたつみたてNISAやロボアドバイザーと比べ、腕時計投資を始めるにあたっては初期コストがかかります。
【参考記事】投資初心者が比較検討した結果、ロボアドバイザーではなくつみたてNISAを選んだ理由
はじめに投資資産として高級腕時計を買わなければならないことから、少なくとも数十万円の手持ち資金が必要です。
そのため、初期コストがかかるといった点においても腕時計に興味がない人にはあまりおすすめできる投資方法ではありません。
先述したように、機械式時計はメンテナンスさえ怠らなければ半永久的に使用することが可能です。自分の代だけでなく子や孫の世代にまで受け継ぐなど、味わい深いのもまた腕時計の楽しさのひとつでしょう。
再三とはなりますが、腕時計投資はいわば時計好きによる時計好きのための趣味のような側面を持っていることから、趣味>投資の感覚で楽しみつつやってみることが何より大切です。
実際私自身、夫と出会うまでまったく腕時計に興味がなかったのですが、夫の話を聞いているうちに機械式時計の奥深さに触れ、時計に興味を持つようになりました。
さまざまなブランドが魅力的な時計を扱っていますので、この機会に一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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フリーライター
織瀬ゆり
某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。
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