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資産運用・投資初心者におすすめの手法としてよく聞く「積立投資」。そもそも積立投資とはどんなもので、なぜ初心者におすすめなのでしょうか。証券会社で10年間の営業経験のあるライター・ikumiさんにご説明いただきました。
2017年までの約10年、大手証券会社で営業をしていました。数多くのお客様を見てきた中でわかったのは、投資で成功している人には2パターンあることです。
ひとつは、「安い時に買って、高い時に売れる人」。
もうひとつは、「コツコツ投資ができる人」。
「安い時に買って、高い時に売る」と言葉にするのは簡単ですが、適切なタイミングを計っての売買は、プロでも容易ではありません。そんなプロでも難しいことを、日中は仕事をしながらするのは、一般の社会人には至難の業です。
しかし、コツコツ投資をすることは初心者でもできるので、私は資産運用・投資初心者の方に、積立投資をおすすめしています。
大変失礼な話ですが、私が見てきたお客様の中にも、年収や家族構成から見ても「この人はなぜこんなに資産を持っているのだろう?」と感じた方が多くいらっしゃいました。そのような方はみなさん、若い時から少しずつでも投資をしてきた方ばかりでした。この経験からも、積立投資をおすすめしているのです。
積立投資とは、毎月・毎週など決まったタイミングで株式や投資信託を一定金額購入する投資方法です。
自分の決めたタイミングで決めた額を自動的に買付していくもので、積立の最低金額は金融機関によって異なりますが、最近では100円からできるところもあります。
私は勤めていた証券会社で入社してから月10,000円の積立を始め、2017年の退職以降も継続しています。(積立歴12年)
証券会社で積立投資をするメリットは、証券会社でしかできない株式積立もできることと、投資信託のラインナップが豊富なことです。私は国内外の株と債券をあわせたバランスファンドを選択しており、評価は現在約1.5倍と、きちんと結果も出ています。
積立投資は「ドルコスト平均法」という投資手法です。変動している金融商品を、価格が上がっても下がっても、時間を分散して長期的、そして定期的に一定額を買い続けていきます。
価格が高い時には買える口数は少なくなり、価格が安い時には買える口数が多くなります。 つまり、価格が高い時はあまり口数を買わない、そして安い時に口数をたくさん買うことになるので、買付コストを抑える効果が期待でき、価格変動リスクを低減できます。
積立投資は株式積立と投信積立の2種類ありますが、特に初心者の方は、運用をプロに任せられる投資信託を選ぶことをおすすめします。
投資信託であれば、今は「つみたてNISA」という制度もあり、非課税での運用が可能です。
《参考記事》【体験記】子育て中の投資初心者には毎月約3万円のつみたてNISAがちょうどよかった話
また その中でも投資先が分散されているバランスファンドを選ぶことで、よりリスクを抑えた投資ができます。
コツコツ買えるというメリットをご紹介した積立投資ですが、ここでメリット・デメリットを整理してご紹介します。
積立投資のメリット
一度に大きな金額を投資すると、値動きが気になったり、様子を見ているうちにタイミングを逃したりということがあります。しかし少額から始めることで、「とりあえずやってみるか」と、そのハードルを下げることができます。
また積立投資は、一度手続きをしてしまえば、決まったタイミングに決まった金額が自動的に買付けされます。強制的に引落しをするため手間がかからないうえ、気づいたら資産が増えていたということにつながります。
銀行預金でいう「利息が利息を生む」ということと同じように、投資にも、運用して得られた利益がさらに運用されて増えていく「複利」の効果があります。一般的に投資期間が長いほど、複利の効果も大きくなる傾向があります。長期で積立投資を行うことで、この複利の効果も期待できるでしょう。
価格の変動については、短期売買をするわけではないので、先ほど説明した「ドルコスト平均法」のおかげで、時間分散をしながら目先の上下を気にする必要はなくなります。
自分の資産で投資をすることで、値動きを勉強ができることもメリットと言えるでしょう。
積立投資のデメリット
積立投資だとまったく損をしないという訳ではありません。運用している途中の価格は上下します。下がっているときは投資する商品が安く買えると考え、一喜一憂せずに長い目で投資をすることが大切です。
また積立投資の特性上、長期で運用することで利益を得られる投資方法であるため、短期間で利益を出したいと考えている方には、向かない方法と言えるでしょう。
投資信託で積立をした場合、販売手数料や信託報酬と言われる運用コストがかかります。販売手数料はかからないものが増えていますが、運用するにはコストはつきものです。ただ、市場の値動きに連動するインデックスファンドだと運用コストが安いものが多いので、選択肢のひとつにお考えください。
ここまで積立投資をおすすめする理由を紹介してきましたが、実際に数字を見たほうが実感できるかと思います。
2007年4月に入社したサラリーマンが月々30,000円、日経平均に連動するインデックスファンドに投資をしていたら、評価は今どうなっているでしょうか。野村アセットマネジメントの「Funds-i日経225」でシミュレーションしてみました。
結果は、投資額が465万円に対し、現在の評価額は約800万円になっています。(期間2007年4月から2020年2月まで)
もちろん選ぶ投資信託によってリターンは異なりますが、13年間でこれだけ違いが出てくるのが積立投資です。
13年の間に日経平均は、リーマンショックや東日本大震災、アベノミクス相場と乱高下しています。終値ベースで高値は24,000円台、安値は7,000円台と、その差は17,000円にもなります。
もちろん7,000円の時に買って24,000円の時に売れば、もっと利益になるでしょう。しかしまとまった金額を用意しなければいけないですし、投資のタイミングを間違えれば、一度に資産が3分の1になることもあります。
資産運用や投資というと、始めるのが面倒というイメージもあるかもしれません。ですが、積立投資は始めにペースと金額を決めておけば、毎日チェックする必要はありません。すぐに成果がでないこともありますが、中長期の目線でとにかくコツコツ投資をすることが大切です。長く続けた投資が、資産形成、そして自分の将来につながるのではないでしょうか。
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金融ライター
ikumi
国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等の、資産にまつわる相談に対応。夫の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動開始。不妊治療を経て第一子を出産し、絶賛子育て奮闘中。