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「大型株」「中型株」「小型株」をはじめ、「成長株」や「優良株」などといった用語を聞いたことがありますか?
実は、株式は株式会社の種類や特徴をはじめ、株価の水準や取引市場によっていくつかに分類することができます。
今回は株式の種類や分類について、元銀行員のライター・織瀬ゆりさんにわかりやすく解説していただきました。
大型株、中型株、小型株は発行済みの株式数や時価総額などで区別されており、株価の高い・安いではありません。
東京証券取引所(東証)の「規模別株価指数」では、東証一部銘柄について時価総額と流動性が高い上位100位までの銘柄を大型株、400位までの銘柄を中型株、それ以外を小型株と位置づけています。
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
大型株は発行済株式数が多いことから、売買が活発であり値動きが比較的穏やかなことが特徴です。
売買取引量が多いことから株式の売り買いを希望価格で行いやすく、リーマンショックや今般の新型コロナウイルス感染症といった、市場全体に影響が出る事態がない限り、株価の暴落がないことがメリットとして挙げられるでしょう。
その反面で値動きが穏やかなことから、投資金額が少ないうちは大きな利益をあげることが難しいことがデメリットといえます。
中・小型株は大型株に比べて発行株式数が少なく流動性が低いことから、いちど注目が集まると値変動が大きくなる特徴があります。
また、少額で投資できることから、元手金があまりなくても始められます。
中・小型株は短期間で大きな利益を得ることができる可能性を秘めている反面、損をするリスクもそれ相応に高くなります。
ちょっとしたニュースでも株価が乱高下しやすいことから、株取引にそれなりの時間を割くことができる個人投資家向けであるといえるかもしれません。
優良株はその名の通り株の中の優等生で、収益性・成長性・安定性などが優れているといった特徴があります。どれが優良株に該当するかは、各取引所がそれぞれの基準で決めています。
企業業績が好調で今後も成長が見込めることに加え、財務体質も健全なことから中長期的な投資を考えている投資家からの人気が高くなっています。
とはいえ、比較的安心して購入できる一方で値変動もそこまで大きくないことから、ある程度のリスクも楽しみながら投資を行いたいという人には不向きといえるでしょう。
また、企業の不正をはじめ何らかのスキャンダルが発覚した際には、株価が暴落する危険性があることも頭の片隅に入れておかなければなりません。
業績や事業内容から一定の成長力があると判断されるものの、会社の規模が小さい場合には「成長株(グロース株)」と呼ばれます。
成長株と呼ばれる企業は、まさに今現在伸びている途中であり、今後の展望も期待できるため将来性を期待して株を購入する投資家が多いことが特徴です。
割安株はバリュー株とも呼ばれ、本来の価格からみて割安な状態にある銘柄のことを指します。こちらも優良株と同じく共通の定義があるわけではなく、PBRやPERを元に各取引所で判断しています。
ただ値段が安いだけのボロ株とは定義が異なりますので、混同しないようにしましょう。
割安株を利用した投資を「割安株投資」といい、株価が割安な状態にある銘柄がいずれ元の適正な水準に戻ると仮定して投資する投資手法のことを指します。
割安株投資のメリットとしては既に株価が下がっていることから、それ以上の暴落リスクが低く、耐えうることが多い点が挙げられるでしょう。
対するデメリットとして、そもそも割安株がなんらかのきっかけでまた注目を集めない限り、なかなか株価が上がらないことが挙げられます。
そのため、中長期的な目線でしばらくの間保有し続ける覚悟が必要です。
低位株とはその名の通り、株価水準が低い銘柄のことを指します。
また、それに対し株価水準が高い銘柄のことを値嵩株(ねがさかぶ)と呼びます。
株価水準がいくらを下回ったら低位株で、いくらを上回ったら値嵩株と呼ぶかといった明確な定義はありませんが、一般的に1単元(100株)の購入金額が10万円未満の銘柄を低位株と呼ぶことが多いようです。
低位株に共通する特徴として少ない費用で投資ができること、値上がり時の上昇率が高いなどといったことが挙げられますが、その分値下がり時の下落率も高いといったリスクもはらんでいるので注意しましょう。
証券取引所などで通常売買される、わたしたちがよく目にする株式の大半は「普通株」と呼ばれ、それに対し何らかの権利が優先して得られる株式のことを「優先株」と呼んでいます。
日本では配当金を優先的に受け取ることができる優先株がほとんどですが、中には会社が万が一解散した際において残った財産を優先的に受け取る権利を得られる優先株もあります。
一般の個人投資家が優先株を購入することは不可能ではありませんが、基本的に優先株はほとんど市場に出回ることがありません。
そのため、手に入れることも換金することも困難であるといえるでしょう。
優先株は事業会社に対し、支配規制のある金融機関が引き受けるケースが多くなっています。
ある特定の集団が意図的に株価を操作するような売買を大量に繰り返すことを「仕手」といい、その対象となる銘柄のことを「仕手株」といいます。
皆さんもご存じのように、基本的に株価はその企業の財政状況やニュースリリースなどによって価格が変動します。
しかし、そのような値動きに直結するような事柄が特に何も起きていないにもかかわらず、ある日突然値段が高騰・暴落した場合には「仕手」が行われた可能性が高いといえるでしょう。
ある種マネーゲームのようにも扱われることから、銘柄としては優良株よりも少額で手を出しやすい中・小型株がターゲットとなるケースが多いようです。
とはいえ昨今ではネット証券の参入もあって、証券取引自体が高度化・高速化を遂げていることから以前に比べて仕手の動きは少なくなっています。
浮動株とは、既に市場に出回っている株式の中で売買取引が活発な銘柄のことを指します。
それに対し、特定の大株主等が保有していることによりほとんど売買されることがない銘柄のことを「特定株」と呼んでいます。
企業によって浮動株の割合は異なり、発行済株式数のうち浮動株が占める割合のことを「浮動株比率」と呼び、浮動株の比率が高ければその銘柄は売買がしやすく、逆に低ければ売買があまり頻繁に行われないと判断することができるでしょう。
また、浮動株比率が低い場合には流通している株式が少ないことになるため、ちょっとしたニュースやスキャンダルで株価が大きく変動する特徴を有しています。
株取引に少し慣れてきたら、浮動株比率にも目を向けて売買を行ってみるのもよいかもしれません。
今回は大型株や中小型株をはじめ、普段あまり聞いたことがないような用語についてご紹介してきました。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、投資に費やせる資金や時間など自身を取り巻く状況を考えたうえで、あなたにとって適切な投資スタイルを見つけていくことが大切です。
一度読んだだけではなかなか頭の中に入ってこないかもしれませんが、もしこれから株取引を行ってみようと考えている場合にはぜひ、今回の記事を思い出しながら売買をして頂ければと思います。
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フリーライター
織瀬ゆり
某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。
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