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少額から始めることができる不動産投資として、しばしば比較される不動産投資とJ-REIT。比較することで見えてくるそれぞれの魅力について、金融ライターの山下耕太郎さんにご解説いただきました。
少額から不動産投資できる方法として、「J-REIT」と「不動産クラウドファンディング」があります。この記事では両者の特徴と違いについて解説します。
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを利用して不特定多数の人々から集めたお金で不動産を購入・運用するものです。不動産クラウドファンディングは、主に「不動産特定共同事業法」に基づいて運営されています。
不動産特定共同事業法とは、投資家から資金を募って不動産を小口化した上で、それを元に売買・賃貸し、その収益を投資額に応じて投資家に配当として分配する不動産事業に関する法律です。
投資家は、主に不動産事業を営む営業者に匿名組合契約に基づく出資を行い、事業者はこの資金で実物不動産を取得または賃貸し、不動産からの収益を投資家に分配するのです。
また、不動産特定共同事業法によらず金融商品取引法の範囲内でファンドを組成し、不動産からのリターンを還元する仕組みもあり、クラウドリアルティではこちらの手法を採用しているプロジェクトもあります。
不動産クラウドファンディングの投資対象は存在している不動産なので、不動産鑑定技術により客観的な予測が可能です。また投資物件がどのようなものかが情報開示されているので、投資家は物件内容を確認できるのです。
不動産クラウドファンディングとJ-REITの違いについて解説します。J-REITの詳細について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
不動産に少額投資したい人のあいだで、不動産クラウドファンディングとよく比較されるのがJ-REITです。
J-REITは多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルやマンション・商業施設など複数の不動産を購入し、その売買益や賃料収入を投資家に分配する金融商品です。
不動産クラウドファンディングとJ-REITとの一番の違いは、ファンドの規模です。J-REITの場合、1銘柄の時価総額が数百億~数千億円になります。そして投資対象も、オフィスビルや大型集合住宅など大規模のものが中心です。
一方の不動産クラウドファンディングは、数百万~数千万円の投資規模が多く、J-REITにはおよびません。ただJ-REITは規模が大きいので、自分で投資物件を選ぶことはできません。あくまでもファンドの運用に任せることになります。
しかし不動産クラウドファンディングでは、物件単位で募集が行われることが多いので、投資家はどのような物件に投資するかを自分で選べるのです。クラウドリアルティでも「京町家再生プロジェクト」「コワーキングオフィス」「マルチハビテーション(多拠点居住)」といったテーマを選べ、実際に物件を見学できる案件もあります。
自分の関心のあるものや面白そうなテーマに投資できるという点は、不動産クラウドファンディングの大きな魅力といえるでしょう。
J-REITは東京証券取引所に上場しているので、市場で売買できるというメリットがあります。つまり流動性が高く、現金化が容易なのです。一方の不動産クラウドファンディングは、基本的に途中売却ができません。ですから、証券市場で自由に売買できるJ-REITと比べて流動性は低くなります。
不動産クラウドファンディングのメリットは、主に次の2つです。
J-REITは金融商品取引所に上場しているので、いつでも売買できるというメリットがあります。しかし価格が毎日変動しているので、価格変動リスクを意識しなければいけません。
一方の不動産クラウドファンディングは上場しておらず、価格変動リスクがないので、毎日値段をチェックする必要はありません。
運用は運営会社に任せ、後は出資金と配当金が戻ってくるのを待つだけです。ですから、「日中忙しくて株価などをチェックする時間がない」「落ち着いて投資したい」という人に不動産クラウドファンディングは適しています。
不動産クラウドファンディングは出資を募っている不動産の中から好きなプロジェクトを選んで投資できます。不動産投資を始めようと思っても、通常、数百万~数千万円の資金が必要になるので、なかなか不動産投資に踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。しかし不動産クラウドファンディングでは、数万~数十万円の資金で投資できます。
また不動産を購入する場合は、築年数や立地条件、入居率などによって家賃が左右されるので、想定している利回りを得られない可能性もあります。
一方の不動産クラウドファンディングは共同出資なので、自分で不動産を購入する必要はなく、少ない元手で投資を始められます。また貸付期間が終わると元本が返済される仕組みなので、ローリスク~ミドルリスクの投資手法といえるでしょう。
ただし元本が保証されているわけではないので、元本割れが発生するリスクもあります。1つのプロジェクトにまとめて投資するのではなく、複数のプロジェクトに分散投資してリスクを抑えた運用を心がけるようにしましょう。
J-REITはいつでも市場で売買できるので換金が容易ですが、不動産クラウドファンディングは途中解約や売却を認めている事業者は少なく、換金性は低くなります。J-REITはいつでも売却できますが、不動産市況や経済情勢、金利環境の影響を受けて保有する物件の賃料収入が減ったり、保有物件そのものの価値が下がったりすることによる価格変動リスクがあります。
また不動産クラウドファンディングは個別の不動産に投資するので、個別物件のリスクをフルに負います。ここが複数の物件に分散投資しており、リスクを抑えられるJ-REITとの違いです。
不動産クラウドファンディングでは、投資した後に投資家がやるべきことはほとんどありません。運用が終了するのを待つだけなので、相場や経済環境を常にチェックする必要はないのです。
「価格をチェックする時間が取れない」、「手間をかけずに運用したい」という人は、不動産クラウドファンディングに向いています。
ただし、不動産クラウドファンディングは市場で売買できないので、J-REITに比べてすぐに現金化するのが難しいというデメリットもあるので、必ず余裕資金で運用するようにしましょう。
また不動産クラウドファンディングでは運用される不動産の情報(物件の住所や面積、築年数など)が公開されているケースが多いので、投資する前にきちんと分析したい人にも向いています。クラウドリアルティの「~紡~石不動之町 京町家再生プロジェクト」では、ホームページで現状(改装前)や完成予想イメージなどが確認できます。
不動産クラウドファンディング | J-REIT | ||
投資金額 | 数万~数十万 | 数万~数十万 | |
流動性 | 低い | 高い | |
価格変動リスク | なし | あり | |
物件 | 個別の物件を選べる | 選べない(※タイプは選べる) |
※オフィスビルや住居・商業施設などの物件タイプは選べます。
実物不動産投資には数百万~数千万円の資産が必要になるので、少額から不動産投資したい投資家は、不動産クラウドファンディングを利用するようにしましょう。
不動産クラウドファンディングはJ-REITのように証券市場に上場していないので換金性は低いものの、投資対象の物件内容を確認できることや、利回りがある程度決まっているので、安定した収益を狙う投資家に向いている金融商品です。
ただし、元本や利回りが確保されているわけではないので、必ず余裕資金で投資するようにしましょう。また、複数のプロジェクトに分散投資して、リスクを抑えた運用を心がけるようにしてください。
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