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ロボアドバイザーというサービス名を一度は耳にした方も多いのでは。今回は、資産運用初心者向けのサービスとして注目を浴びるロボアドバイザーについて、金融機関勤務経験のあるライター・織瀬ゆりさんにメリット・デメリットをご紹介いただきました。
私はいま、つみたてNISAを利用して資産運用を行っていますが、始める前につみたてNISAと比較したのがこのロボアドバイザー。
今回は、ロボアドバイザーの概要と、比較の結果なぜつみたてNISAを選んだのかについてご紹介します。
《参考》【体験記】子育て中の投資初心者には毎月約3万円のつみたてNISAがちょうどよかった話
ロボアドバイザーは通称ロボアドと呼ばれ、資産運用にかかる一連の行程をAIにお任せできるとあって、近年投資初心者の間で人気が高まっています。
ロボアドでは利用開始時にいくつかの簡単な質問に答えるだけで、あなたにあった運用プランの提案をしてくれるだけでなく、実際に運用まで行ってくれるなど手軽さがウリの一つです。
また、人間ではなくAIが行うことから感情に左右されることがない点も、ロボアドならではの特長だといえますね。
現在、ロボアドバイザーには「アドバイス型」と「投資一任型」の2種類があり、それぞれ役割が少々異なります。
まずはその違いについて見ていきましょう。
先述したようにロボアドバイザーには「アドバイス型」と「投資一任型」といった2種類が存在します。
「アドバイス型」はその名の通り、AIがアドバイスだけを行ってくれるもので、運用は自分自身で行わなければなりません。
つまり投資対象の選定はもちろん、リバランスなども自分で考えなければならず投資初心者には少々ハードルが高いといえるでしょう。
対する「投資一任型」では、AIが投資対象の選定から運用までを行ってくれます。
自分で投資先を決めることも、定期的な見直しも必要ないことから、投資初心者でも取り組みやすいと言えます。
私がつみたてNISAと比較して悩んでいたのがこの「投資一任型」のロボアドバイザーでした。今回はこの「投資一任型」について解説します。
投資一任型のロボアドバイザーの中でも、特に知られているものを3つ取り上げてみました。
さっそく、それぞれの特徴について見ていきましょう。
WealthNavi(ウェルスナビ)はいま最も勢いのあるロボアドバイザーで、預かり資金残高および運用者数が全ロボアドの中でトップとなっています。
投資対象の選定からリバランスまでたった6つの質問に答えるだけで、自分に適した運用プランを提示してくれることに驚きました。
最低投資額は10万円からと、後述するTHEO(テオ)よりはまとまった金額が必要ですが、運用実績や投資にかかる経費などの情報開示を積極的に行っていることから安心して利用できるでしょう。
また、通常1%かかる手数料が運用を続けた期間と運用金額に応じて、6カ月ごとに割り引かれる「長期割」というシステムも魅力のひとつです。
THEO(テオ)は、ウェルスナビと比較検討されることが多いロボアドのひとつ。
最低投資額が10万円からのウェルスナビに対し、テオであれば1万円からという点が最大の特長といっても過言ではありません。
現在、専業主婦をしている私にとって、1万円で始めれられるというのはとても魅力的でした。
私のような専業主婦に限らず、すでにつみたてNISA等で一定資金を投資に回している方にとっても、少額から運用できる点は大きなメリットですよね。
楽ラップはみなさんご存じ楽天が運営および管理を行っており、楽天ユーザーであれば検討しておきたいロボアドです。
楽ラップは楽天証券から利用することができるので、すでに楽天証券に口座を有している場合には新たに口座開設を行う手間がかかりません。
その反面、楽ラップにはウェルスナビやテオのようにスマホアプリがないことから、サクッと気軽に運用実績を確認したい人は少々不便に感じる恐れがあります。
また、ウェルスナビと同じく最低投資額が10万円であることも念頭に置いておきましょう。
代表的なロボアドバイザーの特徴を理解したところで、ここではロボアドバイザーのメリットとデメリットについてまとめてみました。
ロボアドバイザーを利用するメリットは主に以下の4つです。
子育て中で時間がまともに取れない私にとって、自分で投資対象を選ぶ必要がないという点は大きなポイントでした。
詳しくは後述しますが、つみたてNISAでは金融商品の選定を自分で行う必要があり、少なからず悩む時間が生じます。
その点、ロボアドであれば口座を開設して入金するだけでいいので簡単ですね。
ロボアドバイザーは数多くのメリットがありますが、少し注意しなければならない点もあります。
私が感じたロボアドバイザーのデメリットは以下の3つ。
たとえば、ウェルスナビであれば手数料が1%かかります。
仮に年間100万円を運用に回していたら、年間で1万円の手数料がかかる計算に。
つみたてNISAをはじめ、資産運用を自分で行う場合はこの手数料は必要ないことを踏まえると少々割高に感じてしまいました。
またNISA口座をロボアドで利用することはできないことから、ロボアドで得られた運用益には、20.315%の(株式等譲渡益への)税金がかかってきます。
上記の税金と手数料に加えて信託報酬が加算されることを頭に入れたうえで、ロボアドバイザーを利用すべきかどうか総合的に判断することが大切でしょう。
ロボアドバイザーについてあらかた押さえたところで、つみたてNISAの違いが気になっている人も多いですよね。
今回実際にロボアドバイザーとつみたてNISAを比較検討した上で、両者の大きな違いは次の3つであると感じました。
中でも一番大きいのが「非課税期間の有無」です。
つみたてNISAであれば20年間と期間は限られているものの、その間であれば運用益にかかる税金がタダになります。
ロボアドバイザーでは運用期間に制限はありませんが、非課税枠があるわけではないので運用益に大して一定の税金がかかることに注意しなければなりません。
また投資可能額についてもつみたてNISAが毎月約33,000円、年間40万円が上限となっているのに対し、ロボアドバイザーでは最低投資額が決まっているのみで特に上限額は定められていません。
とはいえウェルスナビと楽ラップの最低投資額が10万円、テオも1万円からと証券会社によっては100円から始められるつみたてNISAと比較すると、少々初期投資額がかさむといえます。
年間40万円を目途に非課税で運用したいのか、40万円以上の投資が可能であるものの非課税の恩恵がないことを許容できるかといった点が判断の分かれ目となってくるでしょう。
私の個人的な意見とはなりますが、投資初心者の場合にはまずつみたてNISAから始めれば十分だと思っています。
つみたてNISAで投資上限額を使い切ってもなお余裕があるという場合に、ロボアドバイザーを検討してみてはいかがでしょうか。
今回はロボアドバイザーの概要と主なサービス、そしてつみたてNISAとの比較についてお伝えしました。
先にも述べたように、まずはつみたてNISAから検討することをおすすめします。
私もかなり悩みましたが、非課税枠が利用できる点で最終的につみたてNISAから利用することに決めました。
この記事が少しでも参考になっていれば幸いです。
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フリーライター
織瀬ゆり
某信託銀行退職後、フリーライターとして独立。在籍時代は、株式事務を中心に帳票作成や各種資金管理、顧客対応に従事。宅建士およびFPなど複数資格を所持しており、金融や不動産ジャンルを中心に幅広いジャンルで執筆活動を行っています。プライベートでは2児の母として育児に奮闘中。
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