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不動産クラウドファンディングのプラットフォームであるクラウドリアルティでは、自社サービスはもちろんのこと、様々な投資情報について紹介しています。今回のテーマは、実物不動産投資(以下、不動産投資)。物件選びの重要性はよく言われますが、管理会社選びをおろそかにしていたために空室だらけ、なんてケースも……。管理会社選びで失敗も成功も経験したライター・木元楓さんに、経験談を寄稿いただきました。
不動産投資を始める時は、いろいろな物件を見て比較して情報を集めて、ある程度知識をつけてから始める方が多いと思います。しかし、わたしの不動産投資の始まりは突然でした。2010年、23歳の時に父が亡くなり、相続でマンションとアパート、貸店舗を相続することになってしまったのです。全く不動産知識のなかったわたしが、右も左もわからないところから9年間不動産経営をしてみて、一番大事だと感じたのは『不動産管理会社』。今回はこの不動産管理会社の重要性について、不動産投資ド素人だったわたしの実体験とともにご紹介します。
相続をしたときの不動産投資の認識は、「自分は大家さんになったんだ」「働かなくても家賃収入があるんだ」程度のものでした。自分が何もしなくても、不動産を所有しているだけで収入が得られると思っていたんです(笑)。この記事を読んでいる方は、不動産投資はそんなに手軽ではないことはご存じかと思いますが、知識のなかったわたしは本当にここからのスタートだったのです。
なにもわからなかったわたしは、まず不動産を管理する方法が複数あることを知ります。
その管理方法は、自主管理と管理委託というもの。わたしが相続した不動産には『自主管理』の物件と『管理委託』の物件がそれぞれありました。
管理委託の物件は、わたしが想像していた通り、家賃収入が入ってくるだけの物件でした。大手ハウスメーカーの管理会社が、入居者の対応はもちろん、退去があれば連絡なしに募集活動をしてくれ、修繕が必要な時も見積書にサインをすれば自動的に家賃から費用を差し引いて修繕してくれます。
一括借上げなので、空室で家賃が入ってこないという心配もありませんでした。管理会社にもよるようですが、わたしは賃料の5%で管理をしてもらっており、管理体制にはとても満足しています。
問題だったのは、自主管理物件。家賃の滞納があれば自分で督促しなければならない。督促しても払ってくれなければ、保証会社が入っていないので諦めるしかない。退去があれば新しく入居者の募集をかけなければいけない。クリーニングや修繕があれば、業者を探さなければいけない……。
そこで、自主管理の物件については、地元の不動産会社に相談をすることにしました。その結果、仲介をしてもらった際は広告宣伝費として家賃1か月分と、その部屋の管理手数料を5%支払うことに。自主管理物件ではありましたが、仲介してもらった部屋は管理物件になるという不思議な契約を結ぶことになりました。会社勤めをしており忙しかったため、この契約についてじっくり吟味することもなくとにかく何とかしなければと契約してしまいました。
先述の通り、管理委託の物件に関しては大手ハウスメーカーの管理会社ということもあり、手続きは淡白で事務的ですが、任せきりでも問題ないのが現状です。
わたしと管理会社間の契約更新のたびに、物件の劣化具合や入居状況等の説明がありますし、定期的な清掃も写真付きの資料で報告してくれるため、自分が直接物件を見なくても安心して任せられると感じています。
しかし、自主管理の物件は、任せきりにしていたことで空室が増え賃料収入がどんどん減っていったのです。
不動産管理を始めて間もなくのことです。自分には不動産知識もなく、会社員として働いていて時間もなかったこともあり、自主管理物件は、父が生前お世話になっていた地元の不動産仲介会社を頼っていました。入居者の募集や修繕業者の紹介をしてもらい、さらに空室対策でリフォームの提案があれば提案通りにリフォームを行うなど、すべてそちらの会社に任せて安心したつもりでいました。
管理委託をしている物件と同じように、不動産会社に任せておけば間違いないと思っていたんですね。
しかし、一向に入居者はつかず、空室は増えていくばかり。部屋によっては2年以上空室になることも。リフォームをしてもクリーニングをしてもすぐに入居者が入らないのでホコリがつもり、害虫が出て、何度もクリーニングを繰り返しました。
相場も知らないわたしは修繕会社の言われるがまま、向こうにとって都合のいい条件で修繕やクリーニングを重ねました。
今になるとわかるのですが、その地域は賃貸物件が飽和しており、おそらく物件紹介を後回しにされていたのでしょう。不動産会社からしたら、自主管理の物件を委託管理の物件より後回しにするのは当然ですよね。
加えて、あとから知った話ですが、わたしが頼った地元の不動産会社は、女性よりも男性のオーナーを優遇することで有名な不動産会社だったのです!
田舎の小さい不動産会社だからなのか、社長のワンマン経営で、昔から付き合いのある地主さんや、その土地で権力のある人を優遇する方針だったようです。
23歳で何の知識もない女性のわたしの物件に、なかなか入居者が決まらないのは不動産会社の意向も少なからずあったのではないかと思っています。不動産会社が、何もわからない不動産初心者に親切にしてくれるとは限らないのが現実でした。
空室が増えていくと当然、家賃収入も減っていきます。問題はそれだけではありません。入居者の方から「空室が多いのでアパートの雰囲気が暗く寂しい」「さびれた感じが一人暮らしだと怖い」と言われることもありました。
それもそのはずで、アパートの半分が空室。さすがに危機感を覚え、入居者募集の活動に力を入れることにしました。もう頼りにしていた昔なじみの不動産会社だけではだめなのだと思い、以前、やむを得ず土地を売買しなければならないときに、親切にしてくれた女性の担当者Sさんに連絡をしました。彼女は不動産売買が担当だと思っていたのですが、ラッキーなことにわたしが連絡したときには、賃貸の会社に転職していたのです。
出会った時、Sさんは20代後半。ベテランの不動産屋さんと比べるとまだまだ若い女性でした。しかしとても熱心で、わたしが望んで不動産経営をしていないという事情も理解していただき、できるだけ手間がかからないように、不動産経営以外の仕事に影響が出ないように配慮してくださる方でした。
わたしは不動産経営に関すること以外にも、こちらの心情や都合に気を気を使ってくださるSさんは人として尊敬と信頼ができたので、不動産に関することすべてをまかせることに決めました。
Sさんは地元をよく知っており、工事業者や周りの不動産市場についても良心的に説明してくれました。部屋のリフォームについても、なるべく出費が少なく、しかし集客がしやすいようにと、不動産初心者の私にもよくわかる説明をしてくれました。
もちろん不動産経営はビジネスですが、相手にするのはやはり人なので、向こうからしても相性の良い人間には良くしてあげたいと思うはずでしょう。そういった担当者との信頼関係が築けるとお互い気持ちよく仕事ができ、結果的に良い入居者の方を紹介してもらうことにつながるなと感じています。
すでにリフォームをしていたこともあり、Sさんに入居者の募集を頼むとすぐに空室が埋まっていきました。タイミングもあることですが、何より担当者に『この部屋にお客さんをつけてあげたい』と思ってもらえるような関係性を築くことが大事だなと、Sさんと出会って痛感しました。
不動産の管理会社とひとくちに言っても、施工から管理まで同じグループでやっている大手の管理会社と、地元に密着している不動産会社では管理の仕方が全く違います。どこまで任せられるのか、どの程度の対応をしてくれるのかは不動産会社によって本当に様々です。
付き合い方も、普段からこまめに物件の状況を連絡をくれるところ、お中元やお歳暮のやり取りがあるところ、必要最低限の連絡のみのところと様々です。
付き合い方にも好みがあるので、何が良くて何が悪いと断言できませんが、本当に不動産会社によって様々ということは身をもって知りましたし、ぜひ不動産経営を始めたばかりの方々にも知ってほしいです。
不動産会社にしても担当者にしても、相性は比べてみないとわからないです。わたしの場合、Sさんと出会うまでに任せていた人も、悪い人ではありませんでした。ただ、積極的にお客さんを紹介してくれる仲介業者ではなかったのは事実です。
信頼できる管理会社さえ見つけてしまえば、不動産初心者のわたしでも無理なく不動産経営ができています。少しお付き合いをしてみないとわからないこともありますが、管理の仕方に何か違うな? と疑問を感じたときに、比べられるほかの不動産会社が周りにあると心強いかと思います。一つの管理会社に固執せず、不動産投資を始める時から周辺の管理会社の情報の収集もするのは大切なことだと感じます。
わたしの経験が皆様の参考になれば幸いです。
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ライター
木元楓
投資用不動産の売買をしている不動産会社での営業事務経験あり。現在は自身でも投資用不動産を所有し、個人で不動産貸付業に9年従事。