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クラウドリアルティでは少額から始めることができる投資の情報を発信しています。その中でも多く取り上げているテーマの1つが投資信託です。
今回のテーマは高金利、ハイリスクな「ハイイールド債券」。本記事では、ハイイールド債を投資信託で保有することについて、元証券会社勤務のライター・ikumiさんが解説します。
世界的な低金利が続く中、少しでも金利の高いところにお金を置いておきたい、と考える人も多いのではないでしょうか。
金利がもらえる金融商品には「債券」がありますが、特に金利が高いのが「ハイイールド債」という商品です。
金利が高い分、リスクも高くなりますが、ハイイールド債で運用する投資信託は根強い人気があります。
今回は、私自身がハイイールド債投信を実際保有し、その投資が結果的に投資の基本を抑えていたお話をします。
債券は簡単に言うと、国や企業の「借金」のことです。あらかじめ決まった期間保有することで、定期的に金利、そして最終的に額面金額が払い戻される仕組みです。ただし発行体に万が一の時があれば、元本が戻ってこない可能性があります。
そのため債券に投資をする際は、信用力を表す格付けを確認します。格付けが高いほど、信用力が高くなります。
一方、「ハイイールド債」は格付けが低い債券のことです。信用力が低いため、金利は高くなりますが、倒産のリスクだけでなく、価格変動が大きくなります。
たとえば、アメリカのハイイールド債は、リーマンショックのときに35%ほど下落しました。
日本では投資信託を通じて投資をすることができ、債券型の投資信託の中では、資産規模を表す純資産総額が多く、人気のある商品です。
格付けの低いハイイールド債の一番の魅力は、利回りが高いことですが、一方で倒産のリスクや価格変動が大きくなります。そのハイイールド債を、「投資信託」で持つメリット・デメリットは何でしょうか。
1.分散投資ができること
リスクが高い債券こそ、分散投資をする意味があります。複数の企業の債券に投資をすることで、1つの企業が倒産したとしても、価値がゼロになることは考えにくいからです。
この点は、手数料の高い投資信託を選ぶメリットと言えるでしょう。
2.直接投資ができないハイイールド債へ投資できること
日本では企業の資金調達の方法の中心が銀行融資ですが、特にアメリカでは社債を中心とした方法で、市場から資金調達をしています。そのためアメリカのハイイールド市場は規模も大きく、さまざまな投資家層が投資をしています。
しかし日本の証券会社では、海外のハイイールド債を直接投資できる機会は少ないのが現状です。投資信託であれば、誰でも投資ができ、いつでも売却することができます。
1.コストが高い
投資信託は購入手数料の他に、信託報酬などのコストが日々かかります。コストは長期運用を考えた場合には、運用利回りを下げる原因になってしまいます。
2.短期売買に向いていない
ハイイールド債は、短期で売買しようと考える方には向かない運用方法です。
債券は簡単に言うと、その企業が倒産などしない限り、投資をした時点で満期に戻ってくる金額は決まっています。
景気後退局面では株式と同様に価格が下がってしまいますが、株価が上がっても債券の価格は満期の時の価格が決まっている分、急激に上昇することは考えにくいと言えます。
高い金利を受け取ることで魅力を増す投資対象ですので、すぐに結果はでないかもしれません。
私のハイイールド債の投資歴は比較的長く、最初の投資から9年になります。純資産総額が多く、リーマンショック以降資金が集まっていたアメリカのハイイールド債投信を「とりあえず買ってみよう」と思ったことがきっかけです。
投資信託は一般的には、1万円から投資ができます。値動きの勉強もかねて、自分の中の余裕資金で投資をしました。3回に分けて投資をしており、現状はトータルで20%ほどプラスです。
過去10年のデータによると、1年間のリターンが一番大きかったのが35%でした。一番下がった時は20%マイナスと、価格変動はそれなりにありますが、長く保有していたおかげで、プラスを維持しています。
最初に投資をした分のパフォーマンスが良かったため、3年前に追加で購入をしました。その後すぐに価格が下がり、さらに買い増しをしました。
価格が下がったときに買い増しをすることは、短期的には損失を大きくすることもあるので、注意が必要です。
しかし長期投資で見た場合には、平均購入単価を下げ、損失を挽回しやすくなるので、有効な方法と言えます。
長期保有する理由は、「利回りの高さ」を気に入っているからです。
たとえば、5%の利回りの債券を10年保有すれば、それだけで50%増える計算です。実際には、コストや税金がかかります。場合によっては、債券の価格変動や為替リスクなどにより、金利で増えた分よりも損失が出てしまうこともあるでしょう。
しかし20年、30年先を見据えた運用であれば、銀行預金より高いリターンが得られるのではないかと期待しています。
私自身の投資で利益が出ている理由は、結果的に投資の基本を抑えていたことが要因と考えます。
投資の基本は、「分散投資」と「長期投資」です。
分散投資には「資産分散」と「時間分散」の2種類があります。
投資対象を複数にしたり、値動きが異なる投資先を選んだりすることで、値動きのブレ幅を抑えられます。
投資信託は、投資先が1つだけではないので自然と分散投資になります。さらに少額で投資ができるので、投資先の商品を「株」や「債券」、「リート」などと分けることで、より分散投資の効果が高まるでしょう。
時間分散は一度にまとめて購入するのではなく、時期を分けて投資をすることで、「価格変動のリスクを押さえることができる」という考え方です。
余裕資金ができた時に投資することで、おのずと時間分散になりました。
とはいえ資産形成を考えた場合には、「積立投資」のように、一定金額を決まった日に投資ができる仕組みづくりが大切です。
価格の変動があっても、長いスパンで投資することで、相場は循環し、金利で挽回できることもあります。
長期で保有すると決まっている資金であれば、利回りの高いものに投資をすることがおすすめです。
特に長期保有は、「複利の効果」が大きくなります。利息が利息を生み、お金が自分で働いてくれる金額がどんどん増えてくれるからです。
運用商品は1つだけでなく、さまざまな投資対象にすることで、リスクも分散すると言われています。分散投資の選択肢のひとつと考えた場合には、ハイイールド債の投信は面白い投資対象かもしれません。
私自身の投資は、9年で20%のリターンですので、年率に直すと約2%です。ものすごくパフォーマンスが良いとは言えないかもしれません。
しかし長期投資をすることでの複利の効果に期待し、今後も継続して保有する予定です。また余裕資金ができれば、買い増ししてもいいかなと考えています。
投資信託での運用に悩んでいる人の、参考になれば幸いです。
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金融ライター
ikumi
国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等の、資産にまつわる相談に対応。夫の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動開始。不妊治療を経て第一子を出産し、絶賛子育て奮闘中。