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山下耕太郎

クラウドファンディングの税金と確定申告について種類別に解説!

クラウドファンディングを5つの種類に分け、税金や確定申告について解説

年が改まり、年度末が近づいてくると気になるのが確定申告。クラウドファンディングで寄付や出資をした場合、確定申告が必要なケースもあります。そこで今回は、個人投資家で金融・投資ライターとしても活躍する山下耕太郎さんにご解説いただきました。

目次

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングは、大きく「非投資型」と「投資型」の2つに分けられます。

非投資型

  • 寄付型クラウドファンディング
  • 購入型クラウドファンディング

投資型

  • 貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
  • ファンド型クラウドファンディング
  • 株式型クラウドファンディング

それぞれの税金や確定申告などについて解説します。

寄付型クラウドファンディングは寄付控除が受けられるものも

資金提供者の支援金が税額控除の対象になりうるのは、「寄付型クラウドファンディング」だけです。ただ、寄付型クラウドファンディングのすべてが寄付控除の対象になっているわけではないので、各プロジェクトの寄付先を確認する必要があります。認定NPO法人や学校法人など一定の条件を満たしている団体は税の優遇を受けられますが、寄付先が要件を満たしていない場合は、寄付控除の対象にならないからです。

寄付型クラウドファンディングによる控除は、「寄付金控除」か「寄付金特別控除(税額控除)」の2種類があります。実際に計算した上で、確定申告の際にどちらか有利な方を選ぶことが可能です。

寄付金控除を選択した場合の納税額は、次のようになります。

納税額=課税所得(総収入ー各種諸控除合計[寄付金控除])✕税率

寄付金控除は、以下の算式で計算します。

寄付金控除額=(前年1月1日から12月31日までに出資し受領された合計金額)-(2,000円)

ただし、寄付金の合計金額は所得金額の40%相当額が限度です。所得金額とは、給与所得や利子所得、譲渡所得など所得の種類に応じて、前年1月1日から12月31日までのそれぞれの収入金額から必要経費などを差し引いた金額のことです。

寄付金特別控除は、算出された納税予定額から一定金額を直接差し引ける「税額控除」で、納税額は以下の通りです。

納税額=課税所得(総収入ー諸控除)✕税率-寄付金特別控除

寄付金特別控除は、以下の算式で計算します。

寄付金特別控除額=(前年1月1日から12月31日までに出資し受領された合計金額2000円) × 40%

ただし、こちらも合計金額は所得金額の40%が限度になります。さらに、特別控除額の合計は、所得税額の25%までです。なお100円未満は切り捨てになります。

また、寄付金特別控除を利用する場合は、諸控除に寄付金控除を含めることはできません。

寄付金控除を受ける場合の手順

寄付金控除を受ける際の手順について、会社員を例に説明します。

1.必要書類を受け取る

確定申告をして寄付金控除を受けるためには、確定申告書に添付する情報の記載された受領書が必要になります。受領書は、翌年の確定申告まで保存しておきます。また、会社員の方は、12~1月ごろに会社から源泉徴収票を受け取っておきます。

2.確定申告書を作成・提出

確定申告書に源泉徴収の内容を転記し、税務署に確定申告書を提出します。寄付金特別控除を受ける場合は「認定NPO法人等寄付金特別控除額の計算証明書」を合わせて提出する必要があります(電子申告の場合不要)。

3.還付金の振り込み

寄付金控除の還付金は、4月ごろ振り込まれます。

購入型クラウドファンディングは納税の必要なし

購入型クラウドファンディングは、商品の開発などの資金を提供する代わりに、リターンとしてモノやサービスが提供されるクラウドファンディングです。税法上製品の購入と変わらないと解釈されるので、資金提供者は税金を納める必要はありません。

貸付型(ソーシャルレンディング)・ファンド型クラウドファンディング

貸付型では、投資家はプロジェクトに対してお金を貸し、その見返りとして利子を受け取ります。プロジェクトが予定通りうまくいくと、利子とあわせて元金が戻ってきます。

ファンド型では、クラウドファンディング事業者が投資家から資金を募り、その資金を基にさまざまなビジネスに投資します。その結果得られた利益を投資家へ配当金として分配します。

貸付型とファンド型クラウドファンディングの分配金は雑所得

所得税法では、貸付型・ファンド型クラウドファンディングの分配金は雑所得に分類されます。そして、雑所得の課税方式は「総合課税」になります。

総合課税では、給与所得や不動産所得・事業所得など他の所得と合算した課税所得に、所得税の税率をかけて所得税額を算出します。つまり、収入をそれぞれの所得ごとに計算して合算(損益通算)した後、社会保険料控除や基礎控除などの各種控除額を控除した金額に税率を掛けて所得税の計算を行うのです。

税率は累進課税方式が採用されているので、合計した所得が多ければそれだけ税率も高くなります。税率は所得に応じて、以下のように5%から45%の7段階に分かれています。

出典:国税庁
出典:国税庁

分配金の所得税は源泉徴収されている

ソーシャルレンディングとファンド型クラウドファンディングの分配金は、源泉徴収されています。源泉徴収とは、クラウドファンディング事業者が所得税を国に前払いしているということです。

クラウドファンディング事業者により分配金支払い時に源泉徴収される金額は、以下の通りです。

所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%

総合課税となる所得は、年間の所得を合算してから所得控除(基礎控除・社会保険料控除など)をした金額で所得税が計算されます。

その計算された所得税より源泉徴収額が多い場合、確定申告することにより還付金を受けることができます。還付金の申告は、確定申告の義務がない場合でも可能です。還付金とは、所得税の支払すぎなどの理由により、納税者へ返還されるべき税額のことです。

ソーシャルレンディングで収入を得ていても所得税の確定申告の義務がないのは、以下の場合です。

  • 給与の支払いが1カ所のみで、年間給与収入が2000万円以下、かつクラウドファンディング、その他の所得の合計が20万円以下
  • 給与の支払いを2カ所以上から受けていて年間給与収入が2,000万円以下、かつ年末調整をされていない給与の収入金額と、クラウドファンディング、その他の所得の合計が20万円以下
  • 公的年金の収入金額が400万円以下、かつ公的年金以外の給与およびクラウドファンディング、その他の所得の合計が20万円以下
  • 給与、および公的年金、クラウドファンディングなどその他の収入の額が、基礎控除(38万円)や社会保険料(年金保険料や健康保険料)控除などの控除額合計以下

ただし、住民税の申告は必要になります。ソーシャルレンディングやファンド型クラウドファンディングでは、所得税は源泉徴収されていますが、住民税は自分で申告する必要があります。

住民税は、基本的に一律10%です。住民税の申告方法は市町村によって異なるので、確定申告を行った方が手続きは簡単です。

株式型クラウドファンディングの税金

株式型は未上場企業に投資し、株主になれます。その企業が配当を出す場合には、配当金が利益になります。

また、投資した企業が上場した場合、証券取引所を通じて株式を売却することも可能です。その結果、株式の値上がり益を得られる可能性があります。

株式型クラウドファンディングの配当金は、配当所得として総合課税の対象になります。そして、受け取った配当には、ソーシャルレンディング(貸付型)やファンド型と同じように20.42%の所得税がすでに引かれています。

また、取得株式を売却して利益がでた場合、譲渡所得として分離課税の対象になり、利益に対して20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)が課税されます。

どちらの場合も、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以上ある場合には、確定申告が必要です。

まとめ

今回は、クラウドファンディング5つの種類の税金や確定申告について解説しました。それぞれの種類によって控除が受けられたり、確定申告が必要になったりするので、確定申告を行う前に、自分がどのようなクラウドファンディングを活用したか確認しておく必要があります。

Profile

金融・投資ライター
山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011


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