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クラウドリアルティは現在、不動産に特化してクラウドファンディングサービスを行っています。一方、国内のクラウドファンディング市場を見渡すと、不動産以外にも様々なモノ・コトを扱うクラウドファンディングのプラットフォームが存在します。そこで今回は、金融ライター・山下耕太郎さんに、クラウドファンディングについて解説していただきました。
クラウドファンディング(crowdfunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。ある目的をもった個人や事業法人に対し、インターネットなどを活用したプラットフォーム(専用の仕組み)を使用して、不特定多数の出資者が集まって資金提供を行います。
概念としてのクラウドファンディングの歴史は長く、直接的なルーツは18世紀に遡るとも言われています。ただ、クラウドファンディングが世界的に広く認知されるようになったのは、2008~2009年にかけて米国のINDIEGOGO(インディゴーゴー)やKickstarter (キックスターター)といったインターネットを活用したかたちのプラットフォームが登場してからです。
日本では、2011年3月にReady for(レディフォー)が初めてクラウドファンディングサービスを開始し、金銭的見返りを求めない非金融系のクラウドファンディングを中心に認知が広がりました。その後、2015年に金融商品取引法の改正の中で、金融取引としてのクラウドファンディングに係る制度や事業環境の整備が行われ、電子募集取扱業務という枠組みが定められ、投資型のクラウドファンディング事業のうち、ファンドに関する募集または私募の取り扱いが可能になりました。
クラウドファンディングの出資者は、インターネット上で提供されるそれぞれの情報の中から、自分が共感したサービスやプロジェクトに資金を提供します。出資後はプロジェクトの実施状況の報告を受けたり、見返りとして商品やサービス・現金配当を受け取ったりできるのです。
矢野経済研究所は、クラウドファンディングの国内市場規模は、2018年度(2018年4月~2019年3月)に2,000億円を突破する見込みと発表。2014年度に比べると約9倍の規模となり、着実にクラウドファンディングが普及していることがわかります。
先進地の欧米では、多様な借り手と貸し手をネットで直接結ぶ貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)が、銀行に替わる金融仲介手段として定着しています。2014年12月11日には、アメリカ最大手のLendingClub(レンディングクラブ)が、ニューヨーク証券取引所に上場。時価総額1兆円規模となったことが話題になりました。
イギリスでは2016年にソーシャルレンディングがISA(個人貯蓄口座)の投資対象になりました。ISAは株式や投資信託の利益に対する税金が免除される制度で、1999年に始まり、日本のNISA(少額投資非課税制度)の手本になりました。ソーシャルレンディングが株式や投資信託と同じように、利益を生む投資対象として認められたのです。
この影響で、今後のソーシャルレンディング市場はますます拡大するとの見方もでています。先進地の欧米では、多様な借り手と貸し手をネットで直接結ぶ貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)が、銀行に替わる金融仲介手段として定着しています。2014年12月11日には、アメリカ最大手のLendingClub(レンディングクラブ)が、ニューヨーク証券取引所に上場。時価総額1兆円規模となったことが話題になりました。
イギリスでは2016年にソーシャルレンディングがISA(個人貯蓄口座)の投資対象になりました。ISAは株式や投資信託の利益に対する税金が免除される制度で、1999年に始まり、日本のNISA(少額投資非課税制度)の手本になりました。ソーシャルレンディングが株式や投資信託と同じように、利益を生む投資対象として認められたのです。
この影響で、今後のソーシャルレンディング市場はますます拡大するとの見方もでています。
クラウドファンディングの決済方法には、次の2つがあります。
All or Nothing方式は、事業者が設定した資金調達目標額を下回る資金しか集まらなかった場合、資金調達者(プロジェクト起案者)に資金が渡されずキャンセルされるタイプ。いくら支援金が集まっても、目標金額に届かなければ1円も受け取ることができません。
プロジェクト達成の日が決済日になる場合と、クラウドファンディング期間が終了した後に決済が完了する場合があります。
All in方式は、資金調達目標額を下回った場合でも、資金が渡されるタイプです。目標額に到達するかどうかにかかわらず必ず決済が実行され、支援者が申し込みを終えた時点で決済が完了します。
クラウドファンディングは、出資者が資金提供に対して金銭的見返りを求めない「寄付型」、「購入型」と、金銭的見返りを求める「金融型」に分けられます。
金融型は、さらに「貸付型(ソーシャルレンディング)」「ファンド型」「株式型」に分類できます。
日本におけるクラウドファンディングは、「寄付型」「購入型」が中心となって拡大してきました。これは、日本のクラウドファンディングが2011年3月の東日本大震災を契機として注目を集め、主に寄付を集めて復興を手助けする手段として拡大した経緯があるからです。
寄付型クラウドファンディングは、ウェブ上で寄付を募るもので、基本的に支援者にリターンはありません。プロジェクト起案者、支援者ともに社会貢献を目的としている傾向があります。また、Tポイントや楽天スーパーポイントで寄付できたり、寄付金控除を受けたりすることができるサービスもあります。
震災地支援、環境保全、病気のこどもたちへの支援といった、共感性が高いプロジェクトが多いのが特徴です。寄付金を使用した活動内容が報告書やインターネットで確認できるため、支援者がお金の流れを容易に把握できるというメリットがあります。
購入型クラウドファンディングは、ウェブ上でモノづくりなどのプロジェクトに対して資金調達が行われ、その対価としてプロジェクトの成果となるモノやサービスが支援者に還元される仕組みです。
2011年3月にREADYFOR(レディフォー)が日本初のクラウドファンディングサービスを始め、矢野経済研究所によると、2017年度の国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援者数全体の58%が購入型クラウドファンディングです。(出典:株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査(2018年)」)
貸付型クラウドファンディングはソーシャルレンディングとも呼ばれ、複数の個人から資金を集めて、借り手企業に融資する仕組みです。基本的に募集時点で利率が決まっていて、毎月金利が支払われることになります。
貸付型クラウドファンディングは、購入型や寄付型と異なり、支援者は金銭的なリターン(利息)を得ることが可能です。ただ、金融商品になるため、「貸金業法」や「金融商品取引法」などによる法規制を受けます。
金融庁は、ソーシャルレンディングに対し、高い利回りだけで判断して投資することに懸念を抱いています。きちんとファンド業者と共に貸付先の信用力を見極め、取引内容を十分に理解した上で投資することが重要だからです。詳細は、以下のリンクをご覧ください。
ファンド型クラウドファンディングのプロジェクト起案者は、ビジネスに対して出資を募ります。支援者は、売上や出資額に応じた金銭的なリターンを得ることが可能です。ただ、売上に応じて分配金が変動するため、支援者の収益は出資したビジネスがうまくいくかどうかで大きく異なります。
支援者がインターネットを通じて未公開企業の株式を受け取るタイプ。M&A(企業の合併・買収)やIPO(新規公開株)を視野に入れている企業であれば、大きな売却益を狙える可能性があります。
日本では、2017年4月から株式投資型クラウドファンディングが始まりました。
2017年度の国内クラウドファンディングにおける、類型別構成は以下の通りです。
2017年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで約1,700億円。もっとも構成比が高いのは貸付型。全体の9割を占めていて、市場拡大に大きく寄与していることがわかります。
起案者のメリットとして、これまで金融機関やベンチャーキャピタルなどからの出資を得るのが難しかった案件でも、クラウドファンディングを利用して資金を調達し、ビジネスをスタートできます。
また、支援者のリターンを現金以外にも設定できます。購入型クラウドファンディングではモノやサービスをリターンにできるからです。また、寄付型クラウドファンディングでは、リターンを設定しなくても問題ありません。
クラウドファンディングは、国債や銀行預金を上回る利回りが期待できます。また、起案者のSNSの発信や活動報告を見ることで、プロジェクトの仕組みを確認できます。
金融機関の融資は1カ月ほどで実行されますが、クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達しない場合に資金調達できない可能性があります。
クラウドファンディングを始める前に、プロジェクトが成立する可能性や他の資金調達方法はないかなどの情報を事前に調べておくことが大切です。
金融型クラウドファンディングは元本が保証されているわけではありません。金銭的リターン(想定利回り)だけに目を向けずに、出資先の事業内容に加えて、クラウドファンディング事業者の信用リスクなどをきちんと調べておかなければいけません。
また非金融系でも、融資型クラウドファンディングで、リターンとして期待したモノやサービスが届かないこともあるので注意が必要です。
今回はクラウドファンディングの仕組みやメリット・デメリットについて解説しました。クラウドファンディングの登場によって新たな資金調達ができ、企業のビジネスチャンスが拡大しました。
支援者は金銭的なリターンも期待できますが、起案者の思いや情熱に共感して支援できるというのも大きな特長です。
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金融・投資ライター
山下耕太郎
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011