お役立ち・トレンド
クラウドリアルティは2021年より、BaaSプラットフォームとしてこれまで構築してきた金融システムや新たな金融機能のAPI公開を開始していきます。その中でも重要な役割を果たす「オークションによる条件決定機能」について、代表の鬼頭武嗣がメリットや開発の経緯をご紹介します。
(聞き手:金融ライター・山下耕太郎)
——オークション方式でユーザーは何ができるようになりますか?
オークションによる条件決定機能を利用すれば、市場メカニズムによって需要側と供給側の双方にとって最適な取引条件を決定できます。発行者にとっては割安・不利な条件での取引を防げ、投資家は取引対象を高く評価すれば、対象を取得できる可能性を上げることができるのです。
オークションによる条件決定機能では、需要側と供給側がその時々のニーズにもとづいて条件を決定できます。たとえば、一口5万円の案件でも、一口6万円で買いたいという投資家がいたとします。そうすると、起案者は5万円より6万円で買ってくれる投資家に販売したいですよね。
また、一口5万円は固定で、利率を変えるというパターンもあります。本当に欲しい案件であれば、ほかの投資家よりも低い利率を申告することで、多くの金額を出資できる可能性があるのです。
——なぜこの仕組みを開発したのですか ?
マーケット(市場)というのは、需要と供給が出合う場所です。売りたい側と買いたい側が条件をだし、それが合致したタイミングで取引されます。そうやって需給をマッチングさせる条件を決め、取引相手を見つけるというのが市場のもつ役割だと考えています。
ただ、弊社だけでなく、投資型クラウドファンディングというのは、これまでは売り手側が金額を決定して販売してきました。条件が決まっている中で買う人がいるかどうかというマーケティングの仕方なのです。
一方、資本市場(キャピタルマーケット)ではそのようなアプローチはとられておらず、実際のマーケットの需給によって、価格がつきます。具体的には、集まった需要を見ながら価格をつけていくIPO(新規公開株)のブックビルディングや、価格や利回りを入札によって決める国債の競争入札などが例として挙げられます。
ですから、クラウドリアルティが新しいオークション・システム(ブックビルディング・競争入札)として提供しているものは、ある種キャピタルマーケットが果たしている重要な役割の一つだと思っているのです。
つまり、これまで事業を通じて構築してきた新たなキャピタルマーケットの中に市場のメカニズムを組み込むというのが、オークションによる条件決定機能を開発した理由です。
——特許を取得しているとのことですが、詳細について教えてください
クラウドリアルティのPtoPのプラットフォームを公開したのが2016年の12月なのですが、それよりも前から特許を取得しようとしていました。
この特許の適用範囲は、第二項有価証券だけに限定していないので、第一項有価証券はもちろん、不動産特定共同事業契約に基づく出資持分や、その他の財産的価値に対する出資にも用いられます。また、支払手段も金銭だけでなく、すべての財産的価値を対象にしているので、キャピタルマーケットにおけるありとあらゆる価値交換の条件決定に利用できるのです。
クラウドファンディングの世界を見てみても、市場機能を使っていないという課題があるので、改善の余地はあると考えていました。この特許の機能もBaaSの一つのパートです。普通株式のIPOにも使えますし、不動産特定共同事業のような有価証券でないものを発行するプロジェクトにも使えます。多くのサービスに使ってもらえたらと考えています。
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