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J-REITは、銘柄によって最低購入金額が異なります。5万円程度で買えるものもあれば、50万円を超えるものもあるので、自分の資産額に応じて銘柄を決める必要があります。
しかし、「まとまった資金がない」「少額から購入したい」という人でも、投資信託(Jリートファンド)やJ-REIT ETF(上場投資信託)を利用すれば、少額からJ-REITに投資できます。
今回は、J-REIT ETFやファンドについて、金融ライターの山下耕太郎さんにご解説いただきました。
REIT(リート)とは、不動産投資信託のことです。REITの仕組みは米国で生まれ、日本では米国と仕組みの違いもあることなどから、頭にJAPANの「J」をつけて「J-REIT(ジェイ・リート)」と呼ばれています。
J-REITは投資家から集めた資金でオフィスビルやマンション、商業施設など複数の不動産を購入し、そこから生まれる賃料収入や売却益を投資家に分配するのです。
現物不動産投資は数百~数千万円の資金が必要になりますが、J-REITなら数万~数十万円で不動産のオーナーになれるという魅力があります。
J-REITの詳しい仕組みについては、以下の記事を参考にしてください。
【参考記事】日本版不動産投資信託「J-REIT(ジェイ・リート)」とは?メリット・デメリットを
J-REITは株式と同じように証券会社を通じて買えるので、まずは証券会社に口座を開く必要があります。口座開設は、手数料の安いネット証券がおすすめ。証券口座を開設できたら、銘柄を選んで購入します。
ただ、64銘柄が証券取引所に上場しているので(2020年2月時点)、銘柄選びが大変だと考える人もいるでしょう。そんな人には投資信託(Jリートファンド)やJ-REIT ETF(上場投資信託)がおすすめです。少額から買えますし、銘柄選びや運用を投資のプロに任せられるからです。それぞれの特徴を見ていきます。
購入窓口 | 手数料 | 購入金額 | |
個別銘柄 | 証券会社 | 売買手数料 | 数万~数十万円 |
J-REIT ETF | 証券会社 | 売買手数料・信託報酬など | 数千~数万円 |
J-REITファンド | 証券会社・銀行 | 購入時手数料・信託報酬など | 100円~ |
J-REITの購入は証券会社で可能です。J-REITの価格のことを「投資口価格」といいます。株式は100株単位ですが、J-REITの最低購入は1口単位なので、投資に必要な最低金額は1口あたりの投資口価格になります。
数万円程度で買える銘柄もありますが、50万円以上の資金が必要な銘柄もあります。投資口価格の上位と下位3銘柄は、以下のようになります(3月26日時点)
上位3銘柄
証券コード | 投資法人 | 投資口価格 |
8951 | 日本ビルファンド投資法人 | 752,000 |
8952 | ジャパンリアルエステイト投資法人 | 671,000 |
8976 | 大和証券オフィス投資法人 | 570,000 |
下位3銘柄
証券コード | 投資法人 | 投資口価格 |
3298 | インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 13,580 |
8963 | インヴィンシブル投資法人 | 24,950 |
8985 | ジャパン・ホテル・リート投資法人 | 33,950 |
個別銘柄に投資するメリットは、自分の好きなJ-REITを選んで投資できることです。単一の用途に特化した「単一用途型REIT」や複数の用途に分散して投資する「複数用途型REIT」があります。
単一用途特化型REITは、以下の6種類です。
2020年2月末の用途別比率は以下の通りです。
また、複数用途型REITには、以下の2つのタイプがあります。
オフィスビルや商業施設、住宅や物流施設など2つの用途の不動産に投資
オフィスビルやホテル・物流施設など3つ以上の用途、または用途を限定しないJ-REIT
初心者の方は、オフィスビルやホテルなどの単一用途特化型REITよりも、複数用途型REITの購入をおすすめします。複数の用途に分散投資しているので、単一用途型ETFよりも比較的安全度が高いからです。
J-REITの2つ目の購入方法は、J-REIT ETFです。ETFは「上場投資信託」とも呼ばれ、日経平均株価など特定の指数に連動することを目指して運用されます。証券取引所に上場しているので、株式と同じようにリアルタイムで取引可能です。ETFは、投資信託と株式の性質を併せ持った金融商品といえるでしょう。
東京証券取引所に上場するREIT全銘柄を対象にした、「東証REIT指数」に連動するJ-REIT ETFが代表的です。ETFでJ-REITに投資するメリットは、主に次の3つです。
東証REIT指数に連動するETFを購入すれば、その1本でJ-REITすべてに投資しているのと同じ効果があります。最近は小口で投資できるETFも増えており、iシェアーズ・コアJリート(1476)なら1,632円(3月26日現在)で投資可能です。
2つ目のETFのメリットは、コストの低さです。ETFには、売買コストと保有コストの2種類のコストがかかります。
売買コストとは、株式と同じ売買手数料です。ただ、最近は売買手数料が下がっているので、手数料負担も軽くなっています。
保有コストとは、主に信託報酬です。信託報酬とは投資信託を管理・運用するための費用で、保有している間、毎日かかるコストになります。ETFは、一般に普通の投資信託に比べて信託報酬が安いといわれています。ETFは販売会社(証券会社)への手数料やファンドの事務費用が安価であることから、管理コストが安くなっているからです。
ETFは取引所に上場しているので、取引所が開いている時間であればリアルタイムで取引できます。また、あらかじめ指定した価格で売買できる「指値注文」ができるなど、通常の投資信託と比較して、取引の自由度が高いという特徴があります。
「J-REITに投資したいけれどまとまった資金がない」「積立で不動産投資をしたい」というニーズには、J-REITファンドが適しています。J-REITファンドは、J-REITを対象にした投資信託です。
投資信託とは、投資家から集めた資金を投資の専門家(ファンドマネージャー)が運用する商品。J-REITだけに投資しているファンドもあれば、株式や債券などと一緒にJ-REITに投資しているバランス型のファンドもあります。
J-REITは複数の不動産に分散投資していますが、その特徴をさらに追求して分散効果を高めたのがJ-REITファンドといえるでしょう。
J-REITファンドのメリットは、少額から不動産投資できる点。ネット証券を利用すれば、100円から購入することも可能です。J-REITも少額から不動産投資できますが、数万~数十万円のまとまった資金が必要になります。
少額から金額を指定して購入できるので、積立投資にも適しています。毎月決まった額でコツコツ買い付ける、ドルコスト平均法で不動産投資ができるのです。
【参考】ドルコスト平均法とは→《初心者が投資で成功するにはコツコツ長期の積立投資がおすすめ》
また、投資対象を海外のREITに広げることも可能。とくに世界のREIT市場の6割以上を占める米国REITを購入できるというのは大きな魅力です。
今回は、J-REITをいくらから購入できるかについて解説しました。J-REITの投資方法には、以下の3つがあります。
購入金額 | |
個別銘柄 | 数万~数十万円 |
J-REIT ETF | 数千~数万円 |
J-REITファンド | 100円~ |
個別銘柄は自分の好きな用途を選べますが、ある程度まとまった資金が必要になります。J-REIT ETFは、東証REIT指数などの指数に連動することを目指して運用するので、分散効果が高くなります。
初心者に最もおすすめなのは、J-REITファンドです。ネット証券を利用すれば100円から購入でき、金額を指定できるので積立投資にも適しているからです。J-REITファンドを利用して少額から不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。
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金融・投資ライター
山下耕太郎
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011