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REITでは、10万円程度の少額から不動産投資を始めることができます。不動産投資への第一歩として関心の高い方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ディベロッパーでの勤務経験があり、個人投資家としてREIT投資をしている不動産ライター・中村昌弘さんに、REITの売買方法をご解説いただきました。
REITとは、不動産投資信託のことであり、株式と同じように売買できる金融証券です。REITは簡単に売買することができ、定期的に安定した収益を得ることができるので、初心者におすすめの投資方法といえるでしょう。
また、REITは間接的に不動産投資しているような投資方法であり、実物不動産を購入するよりも安価にREITという金融証券を取得できるという魅力もあります。
今回は、REIT投資を検討している人に向け、REITの売買方法を4つのステップに分けて詳しく解説します。
【参考記事】日本版不動産投資信託「J-REIT(ジェイ・リート)」とは?メリット・デメリットを解説
まずは、証券会社に口座を開設するところからスタートしますので、以下を知っておきましょう。
REITは株式のように上場しているので、証券会社を通じて売買することができます。言い換えると、REITを取得するためには証券会社で口座を開設し、証券会社を通じて売買する必要があるのです。
証券会社で口座を開設する方法は、大きく分けて以下2種類の方法があります。
大半の証券会社では、ネットでの手続きも可能になっていますが、各証券会社で手続き方法を確認することをおすすめします。また、郵送や電話で手続きできるケースもあります。なお、口座開設費用は基本的に無料です。
ネットで手続きする手順は以下の通りです。
このように、ネットでの手続きであればネットのみで完結します。ネットであれば口座開設自体は即日できる場合もありますが、本人確認が済んでから取引可能になるため、取引するまでは数日かかります。
実店舗で手続きする場合は、一般的に以下の通りです。
店舗への予約方法などは証券会社によって異なるので注意しましょう。店舗に来店してから取引できるまでは、数日~1週間程度かかります。
実窓口での口座開設よりもネットでの口座開設の方が手間はかからないので、基本的にはネットでの口座開設の方が良いでしょう。
口座開設に必要な書類は「本人確認書類」であり、たとえばSBI証券の口座をネットで開設する場合以下のいずれか1種類を提出します。
また、マイナンバーカードでなく通知カードの場合、「以下いずれか1種類」ではなく「以下いずれか2種類」になります。
証券会社の口座はネットで開設する以外にも、窓口や郵送で開設する方法もあり、さらに同じ口座開設方法でも必要書類は証券会社によって異なります。そのため、上記はあくまで参考として認識しておき、口座を開設する証券会社で必要書類は調べましょう。
口座を開設したら、次にREITを取得する準備として以下を行います。
REITを取得するためには、開設した証券会社の口座へ資金を入金する必要があります。入金方法は証券会社によって異なりますが、たとえばSBI証券であれば以下の方法で入金します。
まずは、トップページにある「入金」をクリックします。
次に、以下のように銀行名(以下は一部)が出てくるので、出金する口座を選択します。
次に、振込金額や取引パスワードなどを入力すると銀行口座のサイトが開くので、そのサイト上で振込実行すれば証券会社にお金が振り込まれます。
なお、振込手数料は証券会社や銀行によって異なります。たとえば、SBI証券の場合SBIネット銀行からの入金なら、上記のように振込手数料は無料です。また、ネット上からの入金ではなく、銀行のATMから証券会社の口座宛に入金することもできます。
入金が終われば、その入金額分のREITが取得できる状態なので、次は取得する銘柄を選びます。REITには以下のような銘柄があり、それぞれ特徴が異なります。
一般的に、法人が賃借人となるオフィスビル・商業施設・物流施設は景気の影響を受けやすいといわれています。また、ホテルの宿泊客はビジネス客だけではなく一般の旅行客もおり、景気後退局面に入ると旅行を手控えるので、やはりダメージを受けます。
住居特化型は一般個人が賃借人なので、景気の波は比較的受けにくいです。というのも、景気後退局面に入っても「住居」は絶対に必要であるため、ホテルなどのように「需要が極端に減る」ことは考えにくいからです。
ヘルスケア施設に関しては、高齢者が増える「今後」にも期待できる銘柄です。さらに、複合型・総合型は特化型を組み合わせているので、この中ではリスクが低い銘柄といえます。
オフィスビル特化型や商業施設特化型は賃借人が法人になるので、景気の波を受けやすい銘柄といえます。
とはいえ、REITはあくまで金融資産になるので、その投資法人の運用状況以外だけではなく「投資家が資金繰りのために売却する」ことも考えられます。
ただ、REIT価格が下がっても投資法人がきちんと運営できていれば、分配金をしっかりともらえます。
そのため、それぞれの特徴を理解し、投資法人の実績などを比較しつつ銘柄は選びましょう。
次に、実際にREITを購入する方法として以下を解説します。
REITの購入はワンクリックで完了します。購入方法も証券会社によって異なりますが、以下のようにネット上から銘柄を指定して買い注文を入れるのが一般的です。
上記はSBI証券の注文画面になりますが、口数や注文方法などを選んだ後に買い注文を入れるという流れです。
なお、ネットではなく電話で購入することも可能ですが、その場合は証券会社の手間がかかるので手数料が高くなる点は認識しておきましょう。
このように、REITを購入するのは非常に簡単ですが、以下の点に注意が必要です。
REITは株式と同じく、市場が空いている時間帯である平日の前場(9:00~11:30)と後場(12:30~15:00)の時間帯でしか売買できません。
また、先ほども少し触れましたが購入時には手数料がかかるので注意しましょう。手数料は証券会社によって異なりますが、たとえば以下はSBI証券でREITを購入する場合の手数料です。
<インターネット>
<電話>
金額に関しては、「1注文の約定代金」になります。
最後に、取得したREITを売却する方法として以下を解説します。
REITの売却時も購入時と同じような方法なので、ワンクリックで売却は完了します。売却時も、ネットではなく電話で売却することが可能ですが、先ほどの通り手数料は高くなるので気を付けましょう。
REIT売却時の注意点は以下の点です。
まず、REITは株価のように変動するので、購入時よりもREIT価格が下がっていることがあります。当然ながら、REIT価格が購入時より下がっている状態で売却すれば売却損失が発生するので、売却時はよく価格を確認することが重要です。
また、REITは保有していると分配金をもらうことができますが、分配金をもらえるタイミングは銘柄によって異なるので必ず確認しておきましょう。REITの分配金は、株の配当のように支払時期が銘柄ごとに決まっています。
というのも、たとえば「明日まで保有していれば分配金がもらえる」のであれば、今日ではなく明日売る……などの選択もできるからです。REITの利回りは4%ほどと比較的高いので、分配金をもらえるかどうかで収益は変わってきます。
このように、REITの売買は基本的に株式の売買と同じであり、ネットで口座開設および売買注文をすると手間も大してかかりません。どの証券会社を選ぶかは、手数料などで判断すると良いでしょう。
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不動産ライター
中村 昌弘
都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパーに勤務。不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛け、自身のマンション売買経験もある。2016年に独立して以降は、不動産関係のライティングも業務の1つに。