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始めよう!「ESG投資」。個人投資家の銘柄選定方法を紹介

ESG投資の7つの種類を紹介・解説

長期目線で堅実に利益を生みながら、社会貢献もできる――。そんな特長から投資家の注目を集めているのが、「ESG投資」です。今回は、ESG投資の基本、メリットやデメリットなどについて、元証券マンのライター・ikumiさんにご解説いただきました。

ESG投資で長期の資産形成を目指す

資産運用を始める際、どのような点に注目しますか?

リスクや、リターンでしょうか。過去のパフォーマンスや将来性という人もいらっしゃると思います。

近年、注目されている投資方法として「ESG投資」があります。長期投資の視点で、企業の将来性を見る分析手法です。

個人投資家にとっても、長期の資産形成を考えた場合に参考になる「ESG投資」の基本についてご説明します。

ESG投資とは

概要

ESG投資とは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の観点を考慮した、非財務面に注目した投資のことです。

長期の運用に適していると言われ、ESG投資関連の資産規模は拡大傾向にあります。

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現在、「SDGs(持続可能な開発目標)」を掲げて、社会問題の解決に取り組む企業も増えていますが、ESG投資はそのための方法のひとつと言えます。

背景

ESG投資が拡大している背景には、2006年に国連でESGを投資プロセスに組み入れるPRI(責任投資原則)を提唱したことに始まります。世界中の機関投資家が、長期的な収益獲得に重要な非財務情報として扱い、PRIに署名しました。

世界最大の機関投資家と言われる日本国民の年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も2015年に署名し、ESG投資は広く認知されるようになりました。

メリット・デメリット

メリット

1.長期目線での投資ができる

ESG投資の投資手法は、企業の長期的な成長や技術に注目しています。短期的な業績やトレンドではなく、持続可能な成長を目指す企業に投資することで、その恩恵を受けられると考えられます。

2.パフォーマンスが安定する

ESG投資の観点を考えながら、企業を維持することは経営者にとっても大変なことです。将来性だけでなく、財務面で体力がある大型優良銘柄がおのずと選別されるため、安定的なパフォーマンスが期待できます。

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3.社会貢献につながる

間接的ではありますが、社会貢献につながる投資ができます。

たとえば、グリーンボンドは再生可能エネルギーなど環境改善効果をもつ事業に使うことが約束されている債券です。資金使途が環境プロジェクトに限定されていること以外は、通常の債券と同じ商品性です。

デメリット

1.すぐに利益が出るわけではない

ESG投資の考え方に共感できる人は多いと思います。ただし、あくまで投資対象は変動商品であり、まったく損をしないというわけではありません。短期的には、経済情勢や需給に左右されるため、すぐに結果がでない可能性もあります。

2.銘柄選択が大変

ESG投資の種類には、さまざまな項目があります。その項目にあった企業を見つけ、個人で判別するには銘柄も多く、難しいのが現状です。

ESG投資の種類

世界のESG投資額の統計を集計している国際団体・GSIAによると、ESG投資には以下の7つの方法があります。

1.ネガティブ・スクリーニング

環境問題や社会問題に悪影響を及ぼす特定セクターを投資先リストから除外する方法です。たとえば、JTをはじめとするタバコ業界の銘柄や原子力発電を行う電力株が機関投資家の投資先リストから除外されています。

2.ESGインテグレーション

財務情報だけではなく、非財務情報も含めて分析する方法です。特定のものを除外したり、組み入れしたりするのではなく、全体を見て銘柄評価を行います。個人では選定が難しい方法のひとつです。

3.エンゲージメント

株主であれば議決権を行使して、意見を言うことができます。すべての株主の権利であり責任であり、株主の立場から働きかける方法のことです。

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4.国際規範スクリーニング

ESG分野での国際規範となる「人権侵害」や「環境汚染」の基準をクリアしていない企業を、投資先リストから除外する方法です。ネガティブスクリーニングと似ていますが、基準が国際規範と明確です。

5.ポジティブ・スクリーニング

ESGの観点で評価が高い企業に投資をする方法です。GPIFもこの方法でESGスコアの高い企業に投資をしています。

6.サステナビリティ・テーマ投資

「サステナビリティ」は「持続可能な」という意味で、社会全体の持続可能性のための投資のことを言います。サステナブルな企業やプロジェクトに対する投資のことを指し、「エコファンド」や「グリーンボンド」などが、該当します。

7.インパクト・コミュニティ投資

社会問題を高い技術力や新しいビジネスモデルで解決することで、経済的利益を追求した投資方法です。最近では「インパクト投資ファンド」として、投資信託でも取り上げられる方法のひとつです。

ESGに目を向けた銘柄選択

銘柄選択の方法は大きく分けて3つあります。

投資信託で投資をする

一番気軽に投資できる方法が、投資信託です。通常1万円から投資が可能であり、積立投資であればもっと少ない金額から始めることができます。

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「ESG投資」と名前がつくものだけではなく、「エコファンド」や「インパクト投資ファンド」など、ESG関連の投資信託は種類が増えています。

GPIFが採用するESG指数のETFで投資をする

GPIFは、ESGの観点から評価の高い銘柄を組み入れる「ポジティブスクリーニング」という方法を用いており、ESG指数を4つ採用しています。その指数に連動しているETFが上場しているので、ETFを購入することでGPIFと同じようなESG投資ができるようになります。

採用している指数とETFは、以下になります。

  • FTSE Blossom Japan Index:「ダイワ 上場投信-FTSE Blossom Japan Index(1654)」
  • MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数:「ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(1653)」
  • S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数シリーズ:「MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信(2560)」
  • MSCI 日本株 女性活躍指数(WIN):「ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)(1652)」

個別銘柄を選ぶ

ESG投資に限らず、個別銘柄を自分で調べて投資するのはなかなか難しいものです。しかし、先程紹介した指数から銘柄を選択する方法であれば、ESGの評価が高い銘柄に投資をすることができます。

たとえば「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」は、採用されている企業とその格付けが公表されています。

一番評価の高い「AAA」は、2019年12月時点では、「国際石油開発帝石」、「住友化学」「イビデン」、「積水化学工業」、「ダスキン」、「オムロン」、「ソニー」、「NTTドコモ」の9銘柄です。この9銘柄から選択することも1つの方法でしょう。

身近なESG投資

幼い子を持ち、「子どものために未来を良くしよう!」と漠然と考えることがあっても、なかなか行動できないという人も多いと思います。株式投資を通じてであれば、そのようなことに取り組んでいる企業を応援することは、比較的気軽にできることではないでしょうか。

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地球温暖化や代替エネルギー、水不足、人口増加による食糧不足などは、みなさんの生活に直結するものです。

たとえば、「ダスキン」はMSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数で、AAAの格付けを取得しています。環境問題だけでなく、家事代行サービスを提供しており、女性の社会進出の後押しをしてくれる企業です。働くお母さんたちはより身近に感じるのではないでしょうか。

興味を持った会社のホームページなどを覗いてみると、CSR(企業の社会的責任)にESG投資への取り組みについて掲げているところが増えてきています。共感できるところに投資することも、ESG投資の方法のひとつでしょう。

まとめ

ESG投資は、中長期的な資産形成を考えたときに、参考になる指標になります。自分で銘柄選択をすることはなかなか難しいですが、投資信託で専門家に銘柄選定を任せて投資をする方法もあります。

自分で興味を持った企業を調べて投資することも、株式投資の楽しみの一つになるのではないでしょうか。

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Profile

金融ライター
ikumi

国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等の、資産にまつわる相談に対応。夫の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動開始。不妊治療を経て第一子を出産し、絶賛子育て奮闘中。

<参考資料>
経済産業省「ESG投資」
GPIF「ESG投資」


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