イベントレポート

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「空き家活用は新しいビジネスとなるか?」ADDress×クラウドリアルティイベントレポート

ADDressの仕組みや今後の展望について、佐別当代表が回答

2019年10月29日、月4万円からの定額制で全国各地にある拠点が住み放題になるサービス「ADDress」を運営する株式会社アドレスが、北鎌倉の築65年以上の古民家を取得した上で改装、新拠点としてオープンするための資金調達プロジェクトが、クラウドリアルティでスタートしました。

この資金調達に先立ち、10月15日には「ADDress×クラウドリアルティ 空き家活用は新しいビジネスとなるか?」と題したミートアップイベントを開催。株式会社アドレス代表取締役社長の佐別当隆志氏、東京R不動産ディレクターの林厚見氏、株式会社クラウドリアルティ代表取締役の鬼頭武嗣の3名が登壇しました。イベントでは参加者から、ファイナンスや空き家の提供を見据えた質問も数多く寄せられました。今回は、そんな質疑応答の様子をご紹介します。

ADDressのサービスや、29日募集開始のプロジェクトに関しては以下の記事をご覧ください。

都市と地方で人口をシェア。空き家活用ビジネスで急拡大する“ADDress”誕生の裏側

2030年までに20万拠点へ。ADDress躍進のスタート地点、北鎌倉の魅力とは

目次

優先度の高い東京近郊、アクセスの良い拠点開発

鬼頭武嗣(以下、鬼頭) 今回はスマートフォンから質問が送れるslidoというツールを使っています。たくさん質問が寄せられているので、すべてに回答するのは難しいのですが、できる限り回答していきたいと思います。

slidoを使って会場から寄せられた質問の一部
slidoを使って会場から寄せられた質問の一部

質問1 会員数100万人に対して20万の物件を目指されるということで、1物件に対して会員5人の計算となります。月額4万円で計算すると、会費収入が1物件あたり年間240万円となりますが、初期投資を回収できる金額なのでしょうか。

佐別当隆志氏(以下、佐別当) まずADDressの仕組みについてのご説明になるのですが、ADDressでは会員の方と賃貸借契約を結びます。賃貸借契約の対象は「固定ベッド」と呼ばれるベッドについて行います。

このベッドはドミトリー形式の複数人で使用する部屋にあり、1部屋を3人程度で共有することになります。そのため、1部屋で月最大12万円の売り上げが見込め、4部屋ある物件であれば月最大48万円の収入が見込めます。つまり、固定ベッドの数によって、その物件から見込める収入が決まります。

また、物件は1部屋2万~2.5万円でオーナーから借りるケースが多く、4LDKで10万円以下の物件が多くあります。鎌倉等の東京近郊の人気エリアは別ですが、地方では5万~10万円の一軒家は多く存在します。その程度の家賃であれば、先ほどお話した収入で収益が立つと考えています。

林厚見(以下、林) 直前まで予約がなかったら民泊のように貸し出すなど、将来的には予約形態の変更はありえますか。

佐別当氏(左)に質問を投げかける林氏
佐別当氏(左)に質問を投げかける林氏

佐別当 料金プランはバリエーションを出していく予定です。ただ、民泊は短期滞在者が増えてしまい、地域との繋がりが薄れるのであまりやりたくないですね。グレードが高い部屋が借りられる、貸切にできる、個室占有契約ができるなど、ハイグレードモデルの展開は検討の余地があると思っています。

質問2 空き家対策に関心があります。行政と連携することで解決した、または今後連携を検討している事例はありますか。

佐別当 空き家対策として、空き家のリノベーション費用を一部補助する制度を持っている自治体もあるので、そうした制度の活用は考えています。

重要文化財となっている建物を、自治体が数千万円かけてリノベーションしたにもかかわらず、観光スポットとしてただ「観るだけ」になっているというケースも多いんです。自治体が所有する不動産を民間に譲渡する流れも最近出てきており、こうした物件をぜひADDressで使ってほしいというお声がけも頂いています。

質問3 茨城に空き家を保有しています。ADDressへの物件提供を考えている空き家オーナー向けのアドバイスはありますか。

佐別当 ADDress会員の50%が東京在住なので、まずは東京から行きやすい地域の優先度が高くなります。東京の方は車を持っている方が少ないので、公共交通機関から徒歩圏内であると良いですね。

来場者から寄せられた質問に回答する佐別当氏
来場者から寄せられた質問に回答する佐別当氏

次に重視するのが、物件の状態。収益性の話もありましたが、リノベーションコストが高いと採算が取れなくなりますので、通常は最低限のリノベーションで済む物件が優先されます。雨漏り等大規模なリノベーションが必要な場合は、オーナーの方にまずは負担して頂くことになるかと思います。

そして、ADDressの特長でもある家守(やもり)が見つかるかは重要です。家守とは、会員と地域の方の交流が深まるようイベントを行ったり、拠点の清掃を行ったりする管理人のことです。オーナーのお知り合いや、ADDressにコンタクトしてくださった方の中に、その物件で家守をしてくださる方がいるか。ソフト重視のサービスなので、地域の交流拠点になりうるかどうかを重視しています。

重視するのは地域、会員同士のコミュニティ

質問4 外国人でも利用は可能でしょうか。

佐別当 日本に移住してきた外国人や、海外在住で一時的に日本に戻ってきている日本人など、賃貸借契約を結んで頂ける方でしたら問題ありません。今、日本では外国人が家を借りにくいという課題がありますが、ADDressはこうした課題解決にもつながるサービスだと思っています。

ただ、いわゆるインバウンド観光客、数日~1週間の短期滞在には現在対応しておりませんし、日本人の利用をメインで考えた設計にしています。

地方の方はまだまだ外国人へのハードルが高いんです。ADDressの仕組みは、その土地の方々からの信頼があってこそ成り立つものです。コミュニティ重視であり続けるためにも、まずは日本でやっていきたいと思っています。

ですから、将来的には海外展開も考えていますが、まずは日本で拠点を着実に増やしていきます。

同様の理由で、会員さん同士のマナーも大事にしています。地域の方達の暮らしを乱してしまったら関係性が崩れてしまうので、自分だけ良ければいいという方には、場合によっては返金し退会して頂くこともあります。少し面倒かもしれませんが、家守を通して地域の方の声が届きやすい環境を作っています。

鬼頭 クラウドリアルティも出資という形を介して3~5年のコミュニティを作るという感覚なので、その点は似ていますね。ADDressと一緒に、より良いコミュニティを作っていきたいと思っています。

会場からはクラウドリアルティ代表・鬼頭への質問も多く寄せられた
会場からはクラウドリアルティ代表・鬼頭への質問も多く寄せられた

高まる「一つの場所で働きたくない」というニーズ

質問5 多拠点生活と働き方改革に関心がありますが、私自身は一般企業に勤めています。企業での導入の際に感じるハードルや可能性はありますか。

佐別当 導入して頂いている企業のお話を伺っていると「一つの場所で働きたくない」「週5日同じオフィスに缶詰は嫌だ」というニーズは増えていると思います。自分のクリエイティビティや成果を発揮するためには、様々な刺激を受けて働きたいという方は多いですね。

企業はそういった優秀な人が辞めないよう「場所」を提供する必要があるのだと思います。

ADDressを利用している方にも、平日田舎でゆっくりしたり、日の出を見てから出社したりというスタイルが楽しくなり、東京の自宅に帰るのは週末だけという方もいます。

アドレスという社名も、住所をadd(追加)していく、複数のaddress(住所)を持てる社会を作っていきたいという思いからつけました。

鬼頭 そろそろ時間なので、ここで10月29日からクラウドリアルティのプラットフォームで資金調達が始まる北鎌倉の新拠点についてご紹介頂けますか。

佐別当 北鎌倉駅から徒歩3分の物件で、お寺の修行僧が60人以上で暮らしていた家なんです。その後は有名な考古学者の方が住んでいたとのことで、当時の天皇陛下もいらっしゃったことがあると伺っています。閑静な住宅街にある由緒ある物件で、人気の物件になると考えています。

鬼頭 最後に、林さんがADDressをサポートする理由やメッセージを頂ければ。

 実は僕自身、会社の仲間と伊豆諸島に家を借りてシェアしているんです。そこから、10~20人くらいでセカンド拠点をシェアするというのは面白いかも、と考えていたところでADDressと出合いました。自分のアイデアの「未来」を見せられた感覚になりましたし、自分が自然とやってきたことでもあったので、一定の勝算とワクワクを感じたんですよね。

ADDress、クラウドリアルティへの期待を語る林氏
ADDress、クラウドリアルティへの期待を語る林氏

僕は「(空き家という)課題解決をしないと!」というよりも、空き家に萌えるだけなんですけど(笑)。でも、日本各地に今ある街がこれから先も残っていったらいいな、とは思っています。

「地元のために何かしたい、でも移住は難しい」。そう思っている人はたくさんいます。ADDressやクラウドリアルティには、関わるルート、仕組み、インフラ、仕掛けを作っていってほしいですね。


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登壇者プロフィール

SPEAC共同代表 / 東京R不動産ディレクター
林厚見氏

不動産セレクトサイト「東京R不動産」や、空間づくりのウェブショップ「toolbox」のマネジメントの他、建築・不動産・地域の再生・開発のプロデュースや、宿・飲食・広場などの運営を行う。東京大学建築学科、McKinsey & company、コロンビア大学大学院不動産開発科、国内不動産ディベロッパーを経て2004年より現職。共編著書に『東京R不動産2』『だから、僕らはこの働き方を選んだ』『toolbox家を編集するために』等。
東京R不動産ホームページ

株式会社アドレス /代表取締役社長
佐別当隆志氏

2000年株式会社ガイアックスに入社。広報・新規事業開発を経て、2015年秋よりシェアリングエコノミーに特化したWebメディア「Share! Share! Share!」をリリース。2016年一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し事務局長に就任。 2017年株式会社mazel設立、代表取締役に就任。内閣官房IT総合戦略室よりシェアリングエコノミー伝道師に任命。総務省シェアリングエコノミータスクフォース委員。2018年、経済産業シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会委員。株式会社アドレス設立、代表取締役社長に就任。2019年シェアリングエコノミー協会常任理事に就任。

株式会社クラウドリアルティ/代表取締役
鬼頭 武嗣

東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。 ボストン・コンサルティング・グループを経て、メリルリンチ日本証券の投資銀行部門にてIPO・公募増資の主幹事業務、不動産の証券化に関するアドバイザリー業務などに携わり、多数の案件を執行。2014年、株式会社クラウドリアルティ設立、代表取締役就任。 一般社団法人Fintech協会理事、革新的事業活動評価委員会委員。

※ 株式会社クラウドリアルティが提供するプロジェクトは、お客様の出資金について元本保証をするものではなく、本事業の収益性、利益の配当や財産の分配も保証されたものではありません。
※ 株式会社クラウドリアルティが提供するプロジェクトへの出資に際しては、当社サイトにおいて表示しております「匿名組合契約」「契約締結前交付書面」等の内容をご確認のうえ、お客様の知識、経験、資力、投資目的等に照らし合わせ、ご自身のご判断と責任においてご出資いただきますようお願い申し上げます。
※ イベント及び本記事は、当社等の概要をご理解いただくと共に、当社が提供する特定の商品に対する勧誘を目的としております。

株式会社クラウドリアルティ
第二種金融商品取引業: 関東財務局長(金商)第2963号
当社が加入する金融商品取引業協会: 一般社団法人第二種金融商品取引業協会


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