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秦創平

不動産投資は自主管理と管理委託のどちらが正解?メリット・デメリットを比較

心理的負担を負ってもお金が浮く「自主管理」が正解なのか?

実物不動産投資は物件を買って終わりではなく、物件の管理や住民の対応が必要になるため、それなりに手間暇をかける覚悟が必要です。管理・対応を管理会社に頼む「管理委託」も1つの手ですが、オーナーが自ら管理や対応を行う「自主管理」がよいという意見もあります。自主管理と管理委託は何が違うのか、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか、元不動産会社勤務のライターが見聞きしたトラブルの実例も交えて解説します。

投資用不動産の自主管理とは?

投資用不動産の自主管理とは、賃貸経営にまつわる各業務をオーナーが自ら行うことです。主にコスト削減のメリットがある一方で、賃貸経営にまつわる業務は多岐に渡るため、対応には時間と労力を要するデメリットもあります。

自主管理のメリット

自主管理が持つ最大のメリットは、管理コストを削減して利回りが上がることです。また、賃貸経営にまつわる各業務に対応することで、賃貸経営のさらなる知識アップにつながるといった側面もあります。

「賃貸管理費を支払わなくて済むので利回りが上がる」と紹介しましたが、管理会社を入れると賃貸管理費が発生します。賃貸管理費は、家賃の3%〜10%程度など、毎月の家賃収入に対して割合で設定されるのが通常です。つまり、その分お金が浮くわけです。

自主管理のデメリット

実物不動産投資で自主管理をするには、管理業務自体に継続的な労力と時間を要するほか、専門的な知識を習得する時間なども必要です。

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自主管理をすると、通常は管理会社に委託する入居者の募集や設備故障に関する対応などを自分でしなくてはなりません。物件が立地するエリアの家賃相場を調査する・入居者募集の広告を掲出する・入居者との契約締結など、入居者募集だけでもその業務は多岐にわたります。

また、物件の設備などはいつ故障するかわかりません。故障が発生したら、できる限り早く対応しないと入居者が不満を募らせてしまいます。対応が後手に回ると、入居者の退去の原因にもなってしまいます。

設備の故障に対応するためには、住宅の設備に関する専門知識が必要です。そのほかにも、家賃滞納に対応する裁判を起こすなら民法など法律に関する専門知識が必要になってきます。専門知識を勉強する時間と労力を要する点は、自主管理のデメリットです。

投資用不動産の管理委託とは?

投資用不動産の管理委託とは、賃貸経営にまつわる管理業務を管理会社に委託することです。管理委託費という経費が増える一方で、心理的・時間的なメリットがあります。

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ただ、管理会社ならどこでもいいというわけではありません。担当者1人あたりの担当物件数も会社によって千差万別です。少ないマンパワーで業務をさばいている管理会社に委託すると、コミュニケーションや業務スピードの面で不安が生じます。

良い管理会社を選ぶためには、物件が立地しているエリアに実績を持っており、入居率が高い会社を見極めることが必要です。経験の長い不動産投資家から紹介してもらうとスムーズに良い管理会社にお願いできるので個人的にはお勧めのテクニックです。

管理委託のメリット

時間的・心理的な負担を軽減できるというメリットは、建物や設備の不具合に対応をするときに感じられます。

管理会社は入居者募集に関して経験があるうえに、家賃の相場なども日々の業務の中で、リアルタイムで把握しています。

また、24時間対応のコールセンターを備えているなど、設備や建物の故障にいつでも対応できる体制を整えているのが通常です。

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入居者募集や故障対応に関して、不動産オーナーは管理会社の報告を聞きつつ提案を受け入れるか判断するだけで問題ありません。

当然、管理会社の提案を判断するためには、多少の知識は必要です。しかし、自主管理で対応する場合と比較すると勉強にかける時間は少なくて済みます。

管理会社を入れておけば、管理にまつわる心理的な負担も軽減できます。例えば水漏れなどは、専門家が一通り調査しても原因がわからないこともあるものです。1回調査して原因がわからなければ再度調査するなど、継続的な対応を迫られることも。

対応が完了するまでの間、自主管理であれば入居者への連絡・報告など自分でしなくてはなりません。マンションであれば上下階の住民に対しても連絡が必要です。

対応に慣れた専門家でない限り、故障などの原因がわからない間のストレスやプレッシャーは大きくのしかかります。

管理委託のデメリット

管理委託のデメリットは、委託してみなければサービスの品質を確認できない点と、管理委託していてもある程度の労力は必要という点です。

不動産投資の賃貸管理はサービス業であって、実体を伴う商品ではありません。賃貸管理会社の担当者がどれほどの力量を持っているかによって、品質は大きく左右されます。

評判のいい管理会社でも、あまり力量のない担当者に当たると、「管理会社が何をしてくれているのかよくわからない」状況になってしまうこともあります。担当者に不満がある場合は、管理会社に担当者を変更するよう要望するなどの対応が必要です。

ここまで自主管理と管理委託のメリット・デメリットについて解説してきました。自主管理と管理委託には、それぞれ異なる特徴がありますが、業務や勉強にある程度時間と労力が必要というポイントは変わりません。

また、管理委託をしていても、トラブルが起こった場合には管理会社の担当者次第でオーナーにも心理的な負担がかかります。「どちらも大変そう」と感じる人には、出資して配当を受け取るだけのクラウドファンディングという選択肢も有効です。

管理室の警報が止まらない!夜も眠れないと大クレームに

最後に、不動産会社勤務時代に経験した、賃貸管理にまつわるトラブル事例を1つご紹介します。

先述の通り、不動産の管理においては、専門家が一度調べても原因を特定できない設備の故障などが多々あります。

ご紹介するのは実際に私が経験した、マンションの管理室の隣にある住戸で起きたトラブルです。

入居者から「夜中に隣の管理室で警報が鳴っているけど、誰かが対応しに来ている様子もない。うるさくて寝られないので、至急対応してほしい」という連絡が管理会社に入りました。

連絡を受けた管理会社が管理室の警報盤を調べてみたところ、特定の住戸で火災報知器に関する警報が鳴っていた痕跡が見つかりました。しかし、該当住戸の火災報知器を調べても特に異常が見つかりません。

それでは、住戸から管理室までの配線に何かトラブルがあるのではと、共用廊下の配線調査を行います。しかし、建設会社から提供されていた図面と実際の状況とが異なっており、またしても原因の特定には至りませんでした。

その間も不具合は続いており、入居者からは何度も早期解決を要望する連絡が入っています。結局、管理室側で警報が鳴る住戸の電源を切ってから、長期間かけて調査することで、ようやく原因を特定できました。

この事例では、入居者から連絡を受けていたのは管理会社です。しかし、自主管理をしていたら、入居者からの連絡は全部オーナーに入ることになります。不具合の原因がわからないことによるストレスやプレッシャーはかなり大きいものです。また、警報盤など設備に関連する対応には、オーナーにもある程度の専門知識が求められます。

まとめ

不動産投資の自主管理には経費を減らして利回りを上げる効果がある一方で、オーナーは入居者やトラブルに対応する負担を引き受けなくてはなりません。また、管理委託には時間や労力といった負担が減る一方で、担当者次第で管理品質が左右されるなどデメリットもあります。

不動産は24時間365日常に稼働し続けているものなので、いつどんなトラブルが起こるかわかりません。心理的な負担を引き受けても利回りを上げるのか、ある程度コストをかけても専門家の手を借りるのか、投資家が自ら決めることが必要です。


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Profile

フリーライター
秦創平

国内不動産会社に10年、海外不動産投資会社に2年勤務経験アリ。現在は不動産関連の記事を中心に執筆するフリーライターとして活動中。


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